ロッキー3

2012年08月17日 金曜日

前作「ロッキー2」の直接的な続編「ロッキー3(Rocky III)」。

ボクシングで成功し、社会的人物としても成功し、やっぱり悩んで引退を考えるけれどボクシングをするロッキー。

始まりで、王座防衛をカットバックで見せ、前作までの様なボクシング映画なのにボクシングはあんまり描かれないという事は無いけれど、前作までは這い上がろうと悩める青年だったのに、いきなり成功者な大人になっている違和感が大きい。あれ程不器用だったテレビ等の広報活動もすんなりこなし、前作まであった葛藤の解決が描かれないので、すっ飛ばし感が強い。
それに毎度の引退を考えるけれど、やっぱり試合をするのは毎度の事。
ボクシングは、前作までは全然描かれなかった練習の部分を描き、ボクシングの辛さを描いてはいるのだけれど、練習は基礎的、基本的な部分ばかりしていて「じゃあ何で前作までの強さは何だったのだ?」と、逆に首を傾げてしまう。この練習部分見ていると、正直言って一作目でする様な事を今更描いている感が強い。練習部分を描く事によって、前作までを否定する様な逆効果になってしまっている。と、言うか前作までがその部分を描かな過ぎたという事が根本的な原因なのだけれど。
この三作目から、非常に分かり易いエンターテイメント路線に鞍替えした感じも。前作までは悶々とした青春映画、アメリカン・ニューシネマ的な感じもあったけれど、話は分かり易く減り張りを付け、音楽で盛り上げ、対比のはっきりした敵を出し、かつてのライバルが手助けしてくれるという、売れ線を狙った感じが強い。まあ、そうしないとどうしようもない三作目になってしまうし。
そして、一作目からのボクシング場面の酷さは変わり映えしない。毎度のノーガードで、顔を少し避けるだけで、大振りのパンチを受けまくっても全然倒れない。序盤にハルク・ホーガンが出て来て、プロレス対ボクシングをするけれど、このボクシングはプロレスだから許してねという言い訳なのかしらん。
それにパンチの音が爆発音みたいになっているのはどうなんだ?殴る度に「ボッカ~ン!ドッカ~ン!」と鳴り、最早格闘ゲームみたいで笑ってしまう。

この映画での訳が分からず、おもしろ場面は、ロッキーとアポロが浜辺でバチャバチャと水を上げ、スローモーションで抱き合う場面。何のゲイ宣言?

シルヴェスター・スタローンは36歳と中年に差し掛かり、顔もハムの人っぽく、現在的な顔になって来た。彼の演技はシリーズが進むにつれ、印象は薄くなり、下手に見えて来る。
ミスター・Tは「特攻野郎Aチーム」の印象が一番強く、その次がハルク・ホーガンとのコンビでWWF時代のレッスルマニアやWCWに出ていた方が馴染みがあり、役的にも非常にプロレス的。だからこの後、プロレスに行ったのだろうか?
そのミスター・Tと後にコンビを組む事になったハルク・ホーガンは、おもしろいのは、当時ベビーフェイスのホーガンが敵で、ホーガンは白のパンツで、ロッキーが黄色のパンツに赤いグローブと、ホーガンお馴染みの色は反対。あと、ちゃんとレッグドロップも決めるし。

前作まで、音楽はロッキーのシーム「Gonna Fly Now」だけで、そう言えば「ロッキー」と言えばサバイバーの「アイ・オブ・ザ・タイガー(Eye of the Tiger)」のはずと思っていたら、この三作目なのか。

エンターテイメント路線に変更して来て、前作までとは違い王道のボクシング映画になって来てはいるけれど、前作までが大しておもしろくないので今更感はある。話的にも同じ事を繰り返している様な既視感はあるし、最後試合に勝って音楽が流れ、エイドリアンが駆け寄るなんて、最早前作までのパロディーに見えて来た。
それでも変化を付けて、続編で何とか違うモノをと言うのは分かる。でも話的にも区切りとしてシリーズの終わり見せたはずなのに、まだこの後三作作られるというのはどうなんだろう?

☆☆★★★

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