麗しのサブリナ

2012年07月24日 火曜日

ビリー・ワイルダー製作・監督・脚本、オードリー・ヘプバーンハンフリー・ボガート共演の映画「麗しのサブリナ(Sabrina)」。

オードリー・ヘプバーンは運転手の娘で、惚れる相手はその主の息子ウィリアム・ホールデンだけれど、全然振り向いてもらえないのでパリに行ってしまう。で、綺麗な女性となって帰って来たら、ウィリアム・ホールデンだけでなく、兄のハンフリー・ボガートにも急にモテてしまう、兄弟二人の間で揺れるお話。
まあ、オードリー・ヘプバーンが出て来た時点で、上手い事行くんだろうなというのはオードリー・ヘプバーンの綺麗さで分かり切った事になってしまうので、別におもしろい展開でも無い。
オードリー・ヘプバーンは恋心ばかりで話は進み、一方のララビー兄弟の方は商売の話ばかりで、何て不均等な映画だと思っていたら、オードリー・ヘプバーンが大人っぽい綺麗な女性になったからって急に二人が攻め始めて恋愛話が始まり、やっぱり不均等な映画。
そのパリ帰りのオードリー・ヘプバーンを見ても全く誰だか思い出しもしないウィリアム・ホールデンの事を、オードリー・ヘプバーンがまだ好きな理由がさっぱり分からないし、ハンフリー・ボガートを好きになった理由も分からないし、どっちをどうしたいのかがさっぱり分からない。最終的にどっちでも良かったのかよ…な結末もあり、どんどんオードリー・ヘプバーンがしょっぱくなって行ってしまうのが残念。
それに、今まで仕事一本の堅物男だったハンフリー・ボガートがオードリー・ヘプバーンを好きになる理由って、今までよりも綺麗になったからという理由位しかなく、スケベ親父みたい。しかも弟が狙っているの知っていて、オードリー・ヘプバーンを狙う弩スケベ親父。兄弟で一人の女性を取り合うのも気持ち悪いが、兄弟で譲り合うのはもっと気持ち悪い。
そう言えば、オードリー・ヘプバーンの映画って、彼女が演じるのは奔放な少女っぽさのある若い感じの女性で、結構年上の男性から惚れられ、惚れるという展開の映画が、この映画だけでなく多い。何でそんなにおっさんが良いのだろう。オードリー・ヘプバーンが年齢以上に若く感じられるので、この老年に見えるおっさんとの恋って、似た様な映画を何本か見ていると、濃過ぎな事に気付き、何だか気持ち悪くなって来る。これも、女性目線だと、振り向いてもらえない金持ちな年上の大人な男性に、努力して振り向いてもらうという成功譚だけれど、男性目線だと、それまで気にも留めていなかった少女が美しい女性になり、惚れるてしまうし、惚れてくれるしで、おっさんの妄想を描いた感じで萎え萎え。

オードリー・ヘプバーンは25歳で、幼くも見え、かつ綺麗でもありと、流石。それにしても1954年の、その当時のお洒落とは言え、オードリー・ヘプバーンの腰の細さは、細過ぎて怖い。
しかし、ウィリアム・ホールデンはまだ36歳なのにどう見ても40半ば、いや50過ぎの老け顔で、何でオードリー・ヘプバーンが惚れるのか分からないおっさん顔。
ハンフリー・ボガートは55歳で、それ以上に老けて見え、どう見てもウィリアム・ホールデンと兄弟には見えない。この兄弟の親は、本当は何か過去にあったんじゃあないかと邪推してしまう配役。それとハンフリー・ボガートは顔デカく、オードリー・ヘプバーンは顔小さいので、二人が並ぶとオードリー・ヘプバーンが1m位後ろにいるかの様な遠近感が生まれてしまう。

ちょっと驚いたのは、この時代に自動車電話があった事。仕組みはどんな物なのだろうか?無線機みたいな物なのだろうか?
あと、飛行機からスーツまで何でもプラスティックで作って、プラスティックは夢の素材って、思いっ切り50年代的展望。

話は、50年代の恋愛モノだから、もっちゃりもっちゃり進み、まあこんなモノかなぁ…とは思うけれど、各人の惚れる動機や、オードリー・ヘプバーンの何がしたいのかの分からなさもあり、いまいち乗り込めない。それよりも、オードリー・ヘプバーンは少女っぽさがあるのに、惚れるのは最早老年のハンフリー・ボガートと、遊び人の若者には見えない、中年かもう老年に差し掛かるんじゃないかとさえ思えるウィリアム・ホールデンと、配役がバラバラで合っていない感じ強く、気持ちの悪い組み合わせが大きな痛手。何だか有名俳優を使っての映画にしたかっただけの配役に思えてしまう。こう、各自の見た目のズレがズレのまま噛み合わず、それぞれの塊がゴツゴツと残り、まとまりが出来なかった様な映画になってしまっている。

☆☆★★★

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