若親分

2012年05月14日 月曜日

市川雷蔵主演で人気が出て三年で八作作られた任侠モノ映画、若親分シリーズの第一作目「若親分」。

父親である組長が殺されたので、海軍軍人だった息子が跡目を継ぎ若親分になり組を守るお話。
しかし、今まで父親とは別で生きて来た市川雷蔵が、何で急に跡を継ごうという気になったのかはさっぱり描かれず、自らの命までかけて危ない橋を渡る様な行動に出ても、どうしてそこまでするかが分からず、見ていても全く身が入らない。奇をてらい、堅気からヤクザにという導入にしただけの様な感じばかり。
それに、この明治末期のヤクザの状況がよく知らないので、普通に~組という法被着て大手を振って暮らしているいるのがいまいちピンと来なかったり、切った張ったの脅しと、結局は殺し合いで解決には「ふ~ん…。」とも思わないので、あんまりおもしろい話じゃあない。ただ、若親分の市川雷蔵の自信一杯で打つ策略は良いし、カッコ良過ぎる。市川雷蔵のカッコ良いヤクザの頭を見る映画。若親分が何でも独断で、一人で乗り込んで行って解決してしまうので、組の部下達は特に見せ場も無く、本当に脇でしかない。最後の市川雷蔵の立ち回りも、一対数十人なのに無敵の若親分が一人でバッタバッタと斬り、全員殺してから部下達が必死こいて到着という、やっぱり市川雷蔵の為の映画。

役者陣は流石に良い。市川雷蔵は役柄によって本当に別人。時代劇の男前とはまた違う、渋いおっさん。始めは真面目な若い軍人が、親分になれば急な貫禄。市川雷蔵って本当に良い役者だなぁと、21世紀に思う。
成田三樹夫はデビュー後間も無くで若いけれど、成田三樹夫の演技だし。朝丘雪路も今の朝丘雪路と変わらずな演技。佐藤慶は40前なのに凄い貫禄と顔の圧。
でも、三波春夫が行き成り出て来たら笑ってしまったが。

三年で八作という事は、この1965年当時の映画は今のテレビドラマのスペシャル版といった感じで作られていたのか。

話的には若親分の活躍だけが前面に出て、市川雷蔵が好きな人にとってはたまらない映画…のはず。話よりも、ちょんまんげ乗せた時代劇役者ではない、現代劇に近い角刈りの市川雷蔵を見れるという点で、非常におもしろく見れた映画。

☆☆★★★

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