墨攻

2012年03月25日 日曜日

日中韓合作の大作時代劇「墨攻」。

中国の戦国時代、趙に攻められ存亡の危機に瀕する小国梁が墨家に助けを求め、やって来た革離が城立て籠もりの作戦を考え出し梁を救おうとする。
全体的にそれなりに出来ているのに、見終わると安っぽさ、しょっぱさを感じるのは何でだろ?何か連続ドラマの後半の盛り上がる前後編をダイジェストで見た感じ。本来なら一つ一つにもっと時間をかけて描けば成程と思えるのだろうけれど、二時間に一杯詰め込んだ割りに各話は細切れ、話や人物の説明や描写をはしょった感じでポンポンと展開し過ぎ、漫画的な都合の良さを感じいまいち乗り切れない。中盤辺りからの疑心暗鬼の権力闘争と墨家の博愛主義は良かったのに、あれだけ博愛を説いていたのに結局やってしまうのかよと疑問とわや感を感じたり。

演出部分では、セットは外の時は大掛かりなセットと人員動員の大軍で雰囲気が出ていて良いのだけれど、室内になると如何にもなセット然としていて、王と家来の時代劇というのもあり急に舞台劇みたいな不自然さを感じた。現物は良いのに、CG部分が物凄く安っぽい。それにやたらと兵士はいるのに、普通の国民の姿が少な過ぎるのも気になった。また、上級兵士の中に一人だけ女性がおり、その不自然さで恋愛劇に発展するのだろうなと思ったら、その通り特に必要も無い恋愛劇になり、主人公の人物設定がぼやけた感じも。
音関係も、中国人俳優以外にも韓国人俳優が入っているので吹き替えやアテレコをしていて、口と合っていない部分が結構あり気になるし、声が浮いている感じがする。それに各人の声の区別が付き難く、字幕追っていると誰がしゃべっているのか良く分からないなんて事も。そして何より音楽が凄く安っぽい。映画音楽と言うより、アニメっぽい安さを感じるなと思ったら、音楽担当は日本人の川井憲次でアニメや特撮を中心に活動している人だった。
一番萎えるのはやっぱり気球による襲撃。有り得なさと、そんなんあるんだったら初めから使えよとは誰もが思う所。気球があったら革離でも無理だろうと。あれだけ策を弄するしたのに、それを台無しにした感が一杯。

役者陣は、他の役者はキチンと格好も時代劇なのに、アンディ・ラウだけ丸刈りでもない現代的な短髪で一人だけ浮きまくり。梁王を演じたワン・チーウェンは、虚ろで気まぐれな権力者を好演していて良かった。

この映画を見ても詰め込み切れていない感ばかりで、原作の小説や漫画を読めばすっきりと満足行く様な内容の描き方なんではなかろうかと思ってしまった。

☆☆★★★

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