黄金

2012年02月28日 火曜日

1949年の第21回アカデミー賞で作品賞・監督賞・助演男優賞を受賞した映画「黄金(The Treasure of the Sierra Madre)」。

貧乏な時の取らぬ狸の皮算用なら問題が無いけれど、実際に金が手に入ると今までの理想は何処へやらで、疑心暗鬼と不安でどんどん堕ちて行く、何時でも人間はそんな感じというのに頷く。しかし、歳行った人間は知識があり、道理をわきまえている。ただ、ハンフリー・ボガートは自分は若いと言うが、どう見ても若者ではなく50近くの十分なおっさんなで、歳行っているはずなのに物凄くギラギラして、あんまり物事を分かっていない上に無謀なのだが。
そのハンフリー・ボガートは悪役と言うよりも、自分の感情や欲望に素直な人物で、どんどんと壊れて行く様は見ていておもしろいし、こういった役が非常に似合っている。このドブズという人物は、脅迫症的妄想に駆られ、直ぐに銃を抜いて脅す肝っ玉の小ささで、しかもそれも直ぐに銃を取り上げられる弱さ、間抜けさを持っていて、意外としょっぱさから来る可愛らしさを持っている。それにドブズって翻訳されているけれど、本来はDobbsなので、ドッブズじゃあないの?どうしても「どブス」に見えてしまう。

「へ~。」と思ったのは、金の取り方。大きな設備等必要無く、手掘りで水で洗えば砂金が結構手に入る。意外と簡単に金持ちになれるのには驚き。

金の入手の端折り方もそうなのだけれど、ちょっとした会話や殴り合い、銃撃場面が長いのに、ハンフリー・ボガートの心境の変化が行き成りだったり、それぞれの描かれる話の長短がいまいちしっくり来ない所がある。さらっと描き過ぎるきらいはあるし、主人公はハンフリー・ボガートじゃなかったっけと思い出す最後に違和感を感じた。
全体的には、金自体を巡ると言うよりも、金を巡る人の心持の変化を描いていて、金掘りの当時の状況等も「成程なぁ~…。」と思いながら見た映画。

☆☆☆★★

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