アルカトラズからの脱出
2012年01月18日 水曜日アルカトラズ島にある、多分世界で一番有名な刑務所であろう刑務所から脱獄する話を描いたクリント・イーストウッド主演の「アルカトラズからの脱出(Escape From Alcatraz)」。
音楽もほとんど無く、脱獄までの物資の調達から自ら必要な物を作り出す用意、脱走方法を丁寧に見せる、非常に地味な映画だけれど、これの丁寧さがおもしろい。仲間とのひそひそ話で、行動や物が制限された中で必要な道具を揃えて行ったり、如何に看守を出し抜くかの方法の思いつき等、緊張感とワクワク感で満ちている。後世のこの手の脱獄映画に限らず、物語に与えた影響は大きいだろうと分かる位、お馴染みの脱獄ガジェット満載。
更にこの映画が良いのは、やはりクリント・イーストウッド。背が高く、がっちりした体格、真っ直ぐで動じない人物なので、どんな困難にも耐えるだろうし、弱音を吐かないので見ていての安心感が強い。
ただ、違和感も。このアルカトラズの刑務所って、アメリカ中から集められた凶悪犯が送られる最後の刑務所と思っていたら、服役囚は意外とひょろかったり、気弱な人物や、コソ泥が出て来たり、その他の多くの服役囚が主人公達に協力的で、アルカトラズに収容されている犯罪者は自分勝手で暴力的で、看守に加え身近にも敵が大勢い、もっと殺伐とした雰囲気かと思っていたので意外な拍子抜け感がある。また、登場人物達、特に主人公の過去や、何でこんな所にいるかがが余り描かれず、それだから犯罪者だけれどがんばれ感が出るのだろうけれど、脱獄の動機付けや仲間との交流の描写が弱い。
この映画は脱獄映画として、娯楽映画として良く出来ていて、非常におもしろいのだけれど、これが実際にアルカトラズの刑務所で起こった脱獄に基づいた映画と言うのが凄い。川の中の小島が丸々刑務所で脱獄困難なんて漫画みたいな物が実際にあったというのも凄いが、更にそこからこの映画に描かれた方法で実際に脱獄した男、フランク・モリスがいたなんて、映画や小説を超えている。しかも映画で描かれていたように、このフランク・モリスは脱獄後河で死亡とされているが、生きて逃げたのか、死んでしまったのか分からないというのも物語的。死体が見つかっていないが、生きていたなら犯罪を繰り返していたのにその後は一切捕まりもせず、噂さえ無いと言い、これはもはや現代の伝説。
現在アルカトラズ島の刑務所後は観光施設になっていて、ここら辺の話が音声ガイドで、目の前の実際の牢獄等を見ながら周れるそうで、この映画を見てから行ったらそりゃあ楽し過ぎる。オギニーランドの開催!
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