アラビアのロレンス

2011年12月29日 木曜日

その力の入り用が見れば分かる大作映画「アラビアのロレンス(Lawrence of Arabia)」。

描かれている第一次世界大戦中のアラブ反乱はさっぱり知らないが、見ていれば何とは無く事情は掴めて来るので問題は無し。前半のトマス・エドワード・ロレンスがアラブ側の人間と接触し、その巧みな交渉術で多くの部族を引き込んで行く流れはワクワクを持って見れる。それが結実し、山場となるアカバ攻略は、一気になだれ込む軍勢を圧倒的な迫力で見せ、非常に盛り上がる。
しかしその後の後半は、迷走し始めるロレンスの考えが判り難く、初めは戦闘で迷いは無かったのに、急に後半のトルコ軍との戦闘で落ち込んでみたり、まるで自分が神の如く振る舞ってみたかと思うと、急に弱気へとコロコロ変わるので、何処へ行こうとしているのか、本心は何を求めているのかがぱっと分からず、少しグダグダした感じを受ける。その大きな理由としては、やはり長過ぎる上映時間もある。4時間弱もある長大な時間は、展開にも前半にあった勢いやまとまりが欠け、一気に見ていると後半はどうしても段々と集中力は欠けて来てしまう、。美しい景色や迫力のある画を長く見せたいのは分かるけれど、もう少しまとめないと、続けて見る分にはしんどいし、映画的にもしんどいと思った。
そしてこの映画だけだと、ロレンスのあれだけ熱の入ったアラブへの身入れがその後どうなったのか分からず、ロレンスはイギリスでバイク事故で終り、またアラブの部族や国がどうなったのか分からず仕舞いで、見終わっても結局これは何だったのかがさっぱり分からずで、何だか消化不良。

映像は凄い。延々と広がる砂漠の中で、まるで水面の様にキラキラ揺れる地面の彼方から砂煙が上がりポツンと黒い人影がずっとやって来たり、日の出前ただ一面の砂の中、長い影を地面に伸ばし一人で歩いて行ったり、壮大過ぎるし美しい映像。最近だとCGでやってしまうので薄っぺらくなるのだろうけれど、人員を動員した野営や行進等圧倒的で物量で現実感を出し、奥行は凄い。そして何より砂漠が多いだけに、舞い上がる、吹き荒ぶ砂煙で風を感じる映像が心地良い。

砂漠の民の生活が見れるのも興味深い。普段の服やラクダ用の杖が、個人用の小テントの幕と支えになったり、鞍や服装も非常に合理的になっている。

映像的も素晴らしいし、話も興味深いモノがあるのに、どうしてもその長過ぎる時間のせいで全体的に締まりが無い場面も多くなり、見ていても面倒臭くなってしまうのが玉に傷。ただ、脚色はあるにしても、こんな出来事が実際に起こり、こんな環境や景色の中で生きている人々を見、思いを馳せると、意識がこの時の砂漠へ飛んで行く。

☆☆☆★★

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