天使のくれた時間

2011年11月10日 木曜日

スライディング・ドア」に続いて、偶然同じ様な「ありえたかもしれない現在」を描いた「天使のくれた時間(The Family Man)」を見た。

成功し金持ちで仕事も女性遊びも順風満帆過ぎる程順調な主人公が、ありえたかもしれない別の現実に突然放り込まれ、いるはずの無い家族の心地良さで気持ちが変化して行くという話で、まあこの手のパラレルワールドモノのヒューマンドラマではありきたり過ぎる内容で目新しさは無いし、別におもしろくも無い。クリスマスイブにそれが起こったり、結局仕事じゃなくて愛なんだとか、捻りの無い話で結末までこちらの予想を超えないベタな展開。しかも主人公は、その自分が選ばなかった、経験しなかったもう一つの自分を受け入れ、乗っかって行くという展開もつまらない。ありえない現実に抗い、何とかしようとするけれどどうしようもないというのはSFの定番で、その無常観、身動きの取れない感じが好きなのだけれど、この強い心持で楽しんで生きていたはずの人間が今までの人生が間違っていたかの様に別人になるのは、そんなに人間って簡単じゃないだろうとちょっと乗り切れない。あったかもしれないけれどありもしない、責任も無い人生を押し付けられ、そちらの方が素晴らしいという感じが好きじゃない理由かも。題名に天使とあるけれどドン・チードルはどちらかと言えば、幻惑を見せそそのかす悪魔の方が近いかもしれない。順調な人生が悪魔の策略によって過去をほじくられ、嘘を見せられ、洗脳され、今までは間違っていたから捨てちゃいなさいという方向へ持って行かれると言う、悪意を持って映画が意図しない視点で見てしまうとホラー映画。

この映画も他の監督作品もそうなのだけれどブレット・ラトナーって、それなりにまとめて来るけれど、大しておもしろくは無い映画を撮るという印象がやたら強い人。

☆☆☆★★

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