エターナル・サンシャイン

2011年10月26日 水曜日

特に前知識も無く「エターナル・サンシャイン(Eternal Sunshine of the Spotless Mind)」を見たがなかなか上手いし良い映画だった。

前日見た「もしも昨日が選べたら」も同じだったが、「面倒くさい事を誰かにすっ飛ばしてもやっぱりろくでもなく、結果何が大事か気付く」というコメディーにも、サスペンスにも出来る題材だけれど、この映画は上手く映像的効果も使い恋愛映画にしている。見ていても切ない話になるのは分かり、初めに結末を見せていても、記憶の崩壊と消去を細かく表現して、あっと言う間の時間。初め、背景がぼやけ焦点を前に置き、今時は無焦点で撮るのに珍しいなと思っていたら、見て行くうちに実はこれもこの映画の一つの重要な要素だと分かり、その演出の細かさに感心。だけど、カメラ手持ちで常に映像がぶれているのは、これも後の記憶内の演出の為とは言え、うっとうしく、見難い。
哀しくも温かくとても良い話なのだが、最後まで見て「もしかして、人は変わらず思い続けるのなら、結局は同じ事が繰り返されるのでは?」とふと思い、ちょっと怖さと寂しさを勝手に感じてしまった。この映画は「もしもフィリップ・K・ディックが心地良い恋愛小説を書いたら」的な雰囲気があるけれど、ディックだとわたしの思った様な結末になるんだろうけれど。

この映画の主人公はジム・キャリーなのだけれど、オープニングタイトルが出るまで結構時間があり、それが出るまでジム・キャリーと気付かない位いつもの顔芸、動きまくり封印で、ジム・キャリーとしては意外な大人しく地味な人を演じていて良い。ただ、映画が淡い、切ない流れで来ているのに、途中いつものジム・キャリーを少し見せるコメディー場面があるのが雰囲気ぶち壊しで大きく減点。
「タイタニック」ではレオナルド・ディカプリオに大きく引き離されていたけれど、最近ではそれも逆転した感のあるケイト・ウィンスレットは、自由奔放さを良く演じているし、「スパイダーマン」では「ぶさいく、ぶさいく」言われていたキルスティン・ダンストもこの映画では可愛らしい。ただ、丸刈り、揉み上げ伸ばしのイライジャ・ウッドはちょっと気持ち悪かった。

切なさと温かさにホッとし、非常に映画的効果や編集でも見せる上手くて良い映画。

☆☆☆★★

« | »

Trackback URL

Leave a Reply