デアデビル
2011年09月15日 木曜日デアデビルって、コミックスの方でも見た目は真っ赤で派手だけど地味な人という印象が強いのに、映画化って思い切ったなぁと思っていた、その「デアデビル(Daredevil)」を見た。
やっぱり地味。ただでさえ地味なのに、主人公マット・マードックを演じるのがベン・アフレックなので更に地味さを増している。
ヒーローモノだからアクションをがんばってはいるのだけれど、ベン・アフレックはそんなに上手くなく、全体のワイヤーアクションも上手くないし、CG部分になると安っぽく、急に動きが滑らか、滑らか過ぎて浮いているし、実写との合成も浮きまくりでこれも安っぽい。CGの時は軽やか過ぎてミュータント並みの跳躍力なのに、ベン・アフレックになるとドタドタ走る重そうなデアデビルじゃあ流石に駄目さ加減が大きい。
張り切っていたのはブルズアイ役のコリン・ファレル。やり過ぎ位はじけていて笑ってしまう。
キングピンは、主役のベン・アフレックが決まった後にただでさえ189cmと高い身長のデアデビルよりも大きくごついキングピンとなると、マイケル・クラーク・ダンカンしかいなかったから黒人になったのかなと。
話も復讐の為に戦うけれど、恋愛を経て復讐かと思いきや「憎しみは何も生まない」とベタベタな展開。デアデビルなんだからもっと地味に、アクション映画じゃなくて社会派ヒーローモノを推し進めても良かったと思うのだけど。
ビルの張り出しにや屋上でたたずみ下を眺めるデアデビルって、バットマンの影響が強過ぎ、しかも造形やマントがある分バットマンの方が断然かっこ良いのだけれど、このデアデビルはバットマン以上に行ってしまっている。バットマンは金持ちの自警団で、無茶苦茶するけど最終的は法によって裁かれる様にして線引きの前提はあるけど、このデアデビルは弁護士として働き、法や司法制度を信頼している一方で、自分が気に入らない判決や無罪となった被告人に対して容赦せず、殺人まで行くのだから狂気過ぎて、ヒーローなのかも危うい所まで行っている。そこをもっと突っ込んで行って欲しい所ではあった。
それと、音楽かけてのベッドシーンやアクションシーンとかは妙に安っぽいし、一番盛り上がる所なはずのデアデビル変身場面が物凄いかっこ悪いのは致命的。
☆☆★★★
この映画でおもしろい部分は、「目が見えないけれど音や匂いによって見える」という事を視覚化している部分。音の反響で物を見ているのがデアデビルという盲目のヒーローだから出来た効果。ただ匂いで物を見るのは、プ~ンと匂いが漂って見えているのでいるので、良い香りなはずなのに何だか臭そうに感じてしまい違う効果になってしまっている。
マーベルのヒーローモノ映画の毎度のお楽しみのオマケ、隠し要素も沢山あり。当然の御本人出演スタン・リー、父親のボクシングの試合の相手の名前がジョン・ロミータ(父親のシニア[John Romita, Sr.]の方?)、裁判所での被告人の名前がケサダ(ジョー・ケサダ[Joe Quesada]ってそんなに有名なのか?)、鑑識の名前がカービー(キングことジャック・カービー)とか、更にブルズアイにバイク取られて殺される人がフランク・ミラー本人だったり。フランク・ミラーは一瞬だったので気が付かなかった。
アクション映画として、ヒーロー映画としても今までにあった様な感じが満載で、デアデビルである必要性を突き詰めればもっとおもしろい映画になったのではと感じる、残念感のある映画。