「猿の惑星・征服」をもう一度見てみました。

2026年10月23日 金曜日

J・リー・トンプソン監督、ロディ・マクドウォール主演の1972年の映画「猿の惑星・征服(Conquest of the Planet of the Apes)」。
映画「新・猿の惑星」の直接の続編で、猿の惑星シリーズの四作目。

「新・猿の惑星」から18年後。
宇宙飛行士が地球外から持ち込んだウイルスによって犬・猫は死滅し、人間は猿をペットとして飼い始め、調教して身の回りの仕事を任せていた。
「新・猿の惑星」でコーネリアスとジーラの間に生まれた息子マイロはその存在を隠されサーカスで飼われていたが、サーカスの宣伝で団長のアルマンドと共に都市に来て猿達の酷い扱いを知り、アルマンドの死を切っ掛けに猿達を組織し人間に対して反乱を起こした。

Amazon プライムビデオで猿の惑星シリーズが一気に配信終了となる予定だったので、2010年代以降の映画を見ていないので見たいと思い、だったら以前の1970年代の初めのシリーズを見てから見てみようと思ったものの、何故か一作目だけが見放題には入っていなかったので、しょうがないので二作目から見て、「新・猿の惑星」を見てのその続編。
これも何故か題名には「(字幕版)」とあるにも関わらず、字幕は英語字幕だけで日本語字幕が無かった。

以前見た時の感想とほぼ同じではあり、設定の都合の良さでSFとしては酷いモノだし、何より今回見て思ったのは寓話性がそのまま過ぎて、これまでの様に寓話を程々に仕込む事でSFとしておもしろかったのに余りに直球なので猿の惑星を見ているというよりも社会派映画を見ている様で楽しさが無かった。

これまでも人種差別や対立を比喩的に仕込んではいたけれど、この時代のアメリカの黒人差別や暴動をそのまま取り込んでいるので前半は黒人を奴隷にしていた時代の比喩。
後半は当時の黒人の暴動を扱っていて、それがどれもそのままなのでSFとして捻りが無く、しかもどれも長めに見せて間延びしているので結構飽きてしまう。

しかも、現実の出来事ならある程度それまでの経緯や状況を省いても知っているでしょで行けはするけれど、この映画では猿は猿でもほぼ人間の様な猿なので、この異質な猿達は一体何なのかの説明が必要なのにそこを省いてしまったり、適当にぶん投げてしまっているので話に入って行けないし、付いて行けない。
主人公のマイロは未来の進化したチンパンジー同士の子供なので高い知能や話せる能力があるのは当然として、それ以外の猿達は十年弱程前に犬猫が絶滅したからペットとして人間が飼い出して、そこから使役させる事になって行ったから、十年程であれだけ人間の言う事やする事を理解出来るなんて有り得ないし、そもそも人間とほぼ同じ大きさの体の大きいチンパンジーと、逆に縮小化しているゴリラは何なのかといった説明も無いし、最後には普通のチンパンジーが喋り出すし無茶苦茶。
これは最早この猿の惑星の世界は、現実の世界とは違う別の猿の様な種族と考えないといけないのか。
それでも最後には人間に反抗するのに、それまでの時点で反抗せず、大人しく人間に従っているのは生物としてよく分からない。

人間側も、どうやら未来なので技術が発展しているらしいけれど、何故か猿達を使って色んな作業をさせている事のちぐはぐ感は否めないし、猿達が人間の言っている事を余り理解しておらず間違ったりする事を描いているのに政府関連の重要であろう作業をさせているのもちぐはぐしているし。

人間が猿達を暴力的に調教する所は長めに描くのに、人間への抵抗をする猿達を率いるマイロことシーザーが猿達をどうやって率いる事になったのかという一番大事な部分を一切描いていないのも手抜き。
シーザーがアルマンドを殺されて復讐心が芽生えるのは分かるけれど、その次の場面では猿達に武器や道具を集めさせていて、その間を一切描いていない。
人間の言う事を余り理解出来ていないけれど、同じ人間の言葉を話していてもシーザーの言う事なら人間への抵抗の為の準備だと理解して密かに行動出来るの?という当然の疑問は無視して都合良く話を進めてしまうので、ここら辺りで興味は削がれてしまった。

終盤での人間側が銃を使って猿達を殺しているのに、それに何も感じていないのか猿達は進んで来るのも生物としては有り得ないだろうと思うし、それ程人間への憎しみがあったのか?とか、シーザーによる洗脳が圧倒的だったのか?とかも何も描いていないので見ていても「長いだけだなぁ…」としか思えなかったし。

最後も、シーザーはアルマンドを殺されたので復讐を思い、そこから直ぐに猿達を組織化して、直ぐに反乱を起こしてるだけなので、そもそもシーザーは攻撃性が高かったのでは?と思うし、人間であるアルマンドがマイロを大事に育てたり、マイロを庇ったりした想いが通じておらず、やっぱり人間側が言う野蛮な獣の様にしか描かれていないのはどうなの?とも思ったし、結局猿も人間も大して変わらない野蛮で支配的な者という皮肉なんだろうか?

そう言えば、アルマンド役の人、「新・猿の惑星」の時から何処かで見た事あるなぁ…と思っていたら、「宇宙大作戦」のカーン・ノニエン・シン役をしていたリカルド・モンタルバンだったのか。

この映画、前作の終わりからすればマイロの物語に成らざるを得ず、一作目に繋げて行くとなると猿達の蜂起を描かなくてはいけないのかと思うのだけれど、それでもこれが連続テレビドラマの中の一話ならまだしも、わざわざ一本の映画でする必要あったの?と思う内容で、しかも猿の惑星としてのSFとしてはあちこち手抜きだし、初めから結末に持って行くだけ為の展開でおもしろくはない話でした。

★★★★★
 
 
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