少林寺怒りの鉄拳
2026年09月23日 水曜日サモ・ハン・キンポー監督・脚本・主演・武術指導の1977年の香港映画「少林寺怒りの鉄拳(三德和尚與舂米六 The Iron Fisted Monk)」
伯父の店で働いていたチョンは店に現れた満州人のチンピラによる暴行で伯父を亡くした。
その場にいた三徳和尚がチンピラを追い払い、三徳和尚の勧めでチョンは少林寺に入って武術の修行をする事となった。
しかし、復讐に焦るチョンは修行途中で下山してしまった。
三徳和尚を頼り、三徳和尚が住む町に行くとそこでも満州人が幅を利かせており、それに反抗したチョンは目を付けられる様になる。
古い香港映画を見る流行が来ていて、その中でサモ・ハン・キンポーの映画を続けて見てみた。
サモ・ハン・キンポーの初監督で初主演映画で、話は当時によくあった、悪者が好き勝手して主人公側の工場や財産を乗っ取ろうとして、それに耐えて最後に皆殺しという粗製乱造された展開の話で別におもしろくはなく、後のサモ・ハン・キンポーの笑いへの方向があるのにやたらと陰惨な内容を見せ付けたりと、方向性がバラバラでも特に気にしていなかった当時の香港映画らしい映画。
内容としてはおもしろくはなく、そこよりも何故か陰惨な場面を長く見せるので非常に不快だった。
悪者が悪い事するのは典型なのでいいのだけれど、この悪者の描き方が楽しく見れるカンフー映画ではない。
道端で遊んでいる子供にちょっかいを出して髪の毛を切る時点でも結構引いていたのに、イラッとすると刀で刺し殺そうとして非常に引いた。
そのすんでの所でサモ・ハン・キンポーが介入しては来るけれど、この悪者はお金を狙う様な悪い人間とは違い、完全に何かの精神的な病気にしか思えなかった。
更にその上司は人の家に押し入って強姦をし、その相手が三徳和尚と仲の良い労働者ジンリョンの妹で、ジンリョンが妹に相手を問い詰めて妹は自殺してしまう。
更にその後、敵は今度はジンリョンの妻を強姦して、その場にいた母親も死んでしまう。
そこに敵に攻撃されて死にかけのジンリョンがやって来て、その後死んでしまうという展開。
何で同じ事を二度もするのかが分からない。
しかも、ちゃんと女性の裸を見せ、素っ裸の女性の股間に敵の頭が来て画面上で隠したり、強姦場面を長く見せたりと非常に悪趣味。
しかも、ジンリョンは妹が死んだ暫く後にサモ・ハン・キンポーと共に売春宿に行って喜んでいる話になり、登場人物の考えや行動が壊れており薄ら怖かった。
これって映画会社としてはまだ新人のサモ・ハン・キンポーでは引きが無いと思ってエロ要素を入れる様に言われたのかと思いはするけれど、1970年代のカンフー映画を幾つか見た中でこんなに直接的にしつこく描いた映画を見た事がなかったので、ここまで強姦場面を長く見せたり、更にもう一度となると、もうこれは監督・脚本のサモ・ハン・キンポーの趣味じゃないの?と穿ってしまった。
ここで付いて行けず、終盤は流し見。
悪者が工場の乗っ取り工作を仕掛けるけれど失敗すると皆で押し寄せて作業員を皆殺しにするという、これまでは何だったんだという頭の悪さでサモ・ハン・キンポーと三徳が敵の下に乗り込むなら前段はいらないし。
それに、やっぱりこの当時の香港映画の、主人公をはっきりと出しているのに周りの人物や敵側の話に時間を割き、主人公が全然出て来ない時間が来て、最後の方になってそう言えばサモ・ハン・キンポーが主役だったと思い出す様な構成も変わらずある。
最後の戦いは、そこまでに死んだジンリョンとサモ・ハン・キンポーや三徳との関係性がそんなに描かれないので悪者の行動に怒っただけに見えてしまったし、相手を殺しても「南無阿弥陀仏」と言えば済んでしまうと思っている三徳の狂気が怖かったし、映像がカンフーが凄いんだぞと見せる為にあからさまに早回しにして素早く戦っている様に見せるので、まるで1.2倍速、1.5倍速で見ている様なチャカチャカと動いて見辛い。
この映画、悪役の描き方で引いてしまい、まあ楽しくはなかったし、おもしろくもなかった。
サモ・ハン・キンポーの映画を色々見てからサモ・ハン・キンポーの初監督初主演だから見てみようで見るとサモ・ハン・キンポーへの評価が悪い方へ大きく変わってしまう様な気がしてしまった映画でした。
☆★★★★