スカイホーク 鷹拳

2026年09月21日 月曜日

チェン・チャンホー監督、関徳興(
クワン・タッヒン)
主演の1974年の香港映画「スカイホーク 鷹拳(黃飛鴻少林拳 The Skyhawk)」

黄飛鴻(ウォン・フェイフォン)は旧友の還暦祝いの為に弟子のフェイフェイを連れてタイまでやって来た。
その道中、道場破りをした為に道場主から追われていたシャオシーズをウォン・フェイフォンが助け、シャオシーズも同行する事となった。
旧友は倉庫を経営していたが賭博場や密輸等を行う悪党のグー一味から狙われており、ウォン・フェイフォン一行もグー達からの嫌がらせに巻き込まれてしまう。
更にはグーはシャオシーズを追い掛けて来た道場主も味方につけ、ウォン・フェイフォン一行を襲って来た。

古い香港映画を見る流行が来ていて、その中でショー・ブラザーズの映画を色々と見たのでゴールデン・ハーベストの映画も見てみようという事でサモ・ハン・キンポーの映画を検索していて見つかった中で一番古い映画だったので見てみた。
この映画ではサモ・ハン・キンポーは弟子のフェイフェイ役で、かつ武術指導もしている。

話は香港映画のカンフー映画でよくある、悪者が主人公側の工場や財産を乗っ取ろうとしてちょっかいをかけて来て、主人公側がそれに耐えて最後に敵を皆殺しにするという何度も見た展開なのでそんなモノではあるのだけれど、よく分からないのが舞台設定と時代設定。
何でウォン・フェイフォンがタイに来る必要性があるのかがさっぱり分からない。
調べてみてもウォン・フェイフォンがタイに行ったという実際の話は無いみたいだし、わざわざウォン・フェイフォンという題材でタイでの撮影の意味は何なのかと思うと、タイでの撮影にお金かける意味は見た目が一風変わるとか、話題性とかの映画会社の都合だったんだろうかとは思う。
でも、最後の戦いは何故かタイでの撮影からの急にスタジオでの撮影になったりしているし、ここら辺の都合がよく分からなかった。

それに時代もよく分からず、ウォン・フェイフォンは清の時代の人で1925年に亡くなっているのに、この映画のタイでの撮影では遺跡を見せて何時の時代かを曖昧には見せているものの、町や家やタイの人々の服装等は1970年代そのまま。
ウォン・フェイフォンや弟子も皆辮髪でもないし、まるでウォン・フェイフォンが当時の現代のタイに現れたかの様な見た目しかなく、クラクラして来る。
もう、ウォン・フェイフォンがタイに行く!という企画が決まっただけで、そのまま突っ走って撮影してしまっただけの様な気がした。

よく分からなかったのは主役のウォン・フェイフォンを演じるクワン・タッヒンもで、世代的にウォン・フェイフォンと言えばジェット・リーことリー・リンチェイの印象が強く、若いウォン・フェイフォンの印象が強い所におじいさんのウォン・フェイフォンなのでまず違和感が先行。
ゴールデン・ハーベストがショー・ブラザーズを追い抜け追い越せでやっていた時代の映画の主役がこのおじいさんなの?と思ってしまい、疑問に思ったので映画を見ながら色々調べてみたら納得。
このクワン・タッヒンはウォン・フェイフォンを題材にした映画の中で一番初めに作られた1949年の映画「黃飛鴻傳」でウォン・フェイフォンを演じた人で、この映画以降七十作以上もウォン・フェイフォンを演じていて、ウォン・フェイフォンと言えばクワン・タッヒンだったみたい。
しかし、1970年頃にはウォン・フェイフォンの映画の製作が終わって、クワン・タッヒンは半引退状態で武術学校を開いていたりした中、ゴールデン・ハーベストが久々にクワン・タッヒンにウォン・フェイフォンを演じさせたという映画だった事が分かった。
こういう状況だと当時の香港の人はクワン・タッヒンのウォン・フェイフォン映画に盛り上がっただろうし、このおじいさんのウォン・フェイフォン映画で集客が見込めたのか。
しかも、クワン・タッヒンはこの当時69歳で、この当時のこの年齢を考えると非常に若く見えるし、カンフーもちゃんとしていて、この年齢には見えないので当時見た人は「おー!」となったんだと思う。
しかし、やはり歳ではあるのでクワン・タッヒンのアクション場面は多くはなく、サモ・ハン・キンポーやカーター・ワンが多め。
そのサモ・ハン・キンポーは当時22歳と若いので動きは切れが良いし、これ以降の陽気な人という要素も入っていて、サモ・ハン・キンポーを見るにしても結構おもしろかった。

この中ではサモ・ハン・キンポーを知っているので、どうしてもサモ・ハン・キンポーを中心に見てしまったのだけれど、そうすると誰が主役なのか分からなくなり、サモ・ハン・キンポーを差し引いても主役となる人物に話を絞り切れていない感じが強かった。
群像劇と言えば良いけれど、どの人物にも時間を割き過ぎで主役が誰なのかが分からず話は散漫。
中盤辺りまでウォン・フェイフォンはそれ程焦点は当たらず、初めに強さを見せたシャオシーズがウォン・フェイフォン一向に途中加入したのでこの人が主役になるのかと思いきやそうでもなく、サモ・ハン・キンポーも結構目立つし、この時代の香港のカンフー映画で多い、敵側の話に時間を多く割くのがこの映画でもあり、結局誰を主人公に何を見せたいのか分からない。

ウォン・フェイフォンも敵の嫌がらせに対して弟子達にやたらと我慢する様に言うのだけれど、これが自分達が友人の所で世話になっているから揉め事を起こすななのか、武術の精神として手を出してはいけないなのかがよく分からなかったし、結局ウォン・フェイフォンが何もしないので友人達は次々と殺されて行くし、結局ウォン・フェイフォンは敵を皆殺しにしてしまうしで、何だかなぁ…。
悲劇を描くにはしょっぱい感じばかり。

あと、何故邦題が「スカイホーク 鷹拳」なのかもよく分からない。
別に映画内で鷹拳なんて出て来ないし。
多分、何らかの理由で英語の題名を「The Skyhawk」と付けたので、そこから「スカイホーク 鷹拳」にしたのかも?

この映画、謎の当時のタイを舞台にウォン・フェイフォンがいるという不可思議な設定、かつ誰を主役に見せたいのかよく分からない展開に、悪党がずっと嫌がらせを続けるだけの面白味の無い展開とおもしろくはない映画だったけれど、クワン・タッヒンという人を知れ、そのクワン・タッヒンの眼力凄まじいウォン・フェイフォンを見れたという部分だけでも良かった映画かもしれません。

☆☆★★★

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