霊幻師弟 人嚇人

2026年10月07日 水曜日

ウー・マ監督、サモ・ハン・キンポー製作・脚本・主演の1982年の香港映画「霊幻師弟 人嚇人(人嚇人 The Dead and The Deadly)

デブ公には親友のロイがいたが、放蕩息子だったロイは家を飛び出してしまっていた。
そのロイが遺体となって彼の妻となった人物と帰って来たが、デブ公はロイがどうして死んでしまったのかが気に掛かっていた。
実はロイは生きており、ロイが埋葬される時に一緒に埋められる骨董品を売り捌いて妻に成り済ました仲間と儲けようと考えていた。
しかし、妻に成り済ました仲間はロイの家には大きな財産があり、それを妻が相続する事になると知ってロイを殺してしまった。
恨みを抱えて死んでしまったロイは幽霊となってデブ公の前に現れ、復讐の為にデブ公の体を貸して欲しいと言って来た。

古い香港映画を見る流行が来ていて、その中でサモ・ハン・キンポーの映画を見ていて古い時代の映画から見ようと思っていたのだけれど「霊幻道士」の配信終了が間近だったので先に「霊幻道士」を見てから、その元となったと言われている映画シリーズの「妖術秘伝・鬼打鬼」を見たので、シリーズ続編となっているらしいこの映画も見てみた。
ただ、前作とは全く関係の無い映画。
サモ・ハン・キンポーの映画でデブゴンシリーズと言われている「デブゴン~」と数字が付いている映画も勝手に邦題を付けてシリーズかの様にしているだけだったし、この映画も日本で勝手にシリーズだと言っているだけかもしれない。
実際には1990年の映画「鬼喰う鬼」が原題が「鬼咬鬼」で一作目のちゃんとした続編になっているみたいだし。

で、この映画だけれど、特に展開も無い話を引っ張っているので退屈だし、序盤は話を何処に転がそうとしているのか分からないので話に乗って行けず、終盤はサモ・ハン・キンポーが主人公でもなくなるので脚本が非常に適当な感じがしてしまった。

始まりは「妖術秘伝・鬼打鬼」からの引用の様な、不倫する男女の下にサモ・ハン・キンポーが現れる所からなんだけど、この話は初めに単に掴みとして入れ込んだだけの様でその後の話には一切関係がなく、サモ・ハン・キンポーが幽霊に襲われてどうなったの?の次にはその話がまるで無かったかの様に進んでしまう。
「妖術秘伝・鬼打鬼」でも最初に出て来た幽霊、妖怪にサモ・ハン・キンポーが襲われて、その呪い等がその後の展開になって行くのかと思っていたのに、この映画でも同じくそう思わせる様な感じで始まったのにやっぱり全く関係が無い。

その後はサモ・ハン・キンポーがロイを調べようとする話になって行くけれど、このロイが生きていているのに死んだと思わせている理由を中々出して来ず、ずっとサモ・ハン・キンポーが人形に成りすましながらのバタバタした話が続くので全然話が進まないので退屈。
やがて理由を話すけれど、その意味がよく分からず。
ロイが生きて帰って来ても家は受け入れそうなのに死んでいないといけない理由が説明されないし、ロイが引き連れて来た妻に成り済ました一味との関係性の説明は無いし、何で彼らと金を分ける事になったのかも説明は無いので、ずっと分からない話が続いてしまうので話に入って行けない。
後の展開を見るとロイが主人公の体に入り込んで戦うという事をしたいが為の逆算の設定に思え、だからそれには恨みを持ったロイの幽霊が出て来ないといけない。それにはロイが無念な死を迎えないといけない。主人公がロイの事情を知っていないといけないとなっていって、こういう話になったのかと思ってしまった。
その話がおもしろければ良いのだけれどそうではなく、終始戦いも少なく、笑いも少なく、ずっとグダグダしているばかり。
かと思うと、終盤になるとロイが主人公の体に入って戦い出したり、主人公の霊が体に戻れずに消えてしまうという意外な展開になり、そこから主人公の許嫁が主人公を生き返らせようという話になったりと終盤になって行き成りあっちに行ったり、こっちに行ったりと急展開になって、脚本のまとまりの無さったらない。

最後の部分も、許嫁は初めに少しだけ出て来て紹介はあるものの、主人公は何故か許嫁をやたらと邪魔者扱いして邪険に扱うのに許嫁の方はやたらと主人公に気に入られようと健気さを見せるのにその説明は無くて、どういう関係性なのかもはっきりしないままにその後は許嫁は一切登場せずに最後になって急に登場して来て、主人公は死んでいるので当然活躍も登場もないまま許嫁が頑張るという展開で、最早許嫁が主人公になってしまう。
そして、主人公が復活出来ましたよでめでたしめでたし…にはなるけれど、許嫁が頑張るので主人公は許嫁に思えるし、それまでのロイを巡る話とは関係無いしで、見終わると何を見ていたんだっけ?状態。

全体的に見所は少ないけれど、一番の見所は主人公のおじさん。
ラム・チェンインが演じるこのおじさん、特殊効果でおじさんと言うよりもおじいさんなんだけれど、このおじさんが葬儀等を行う道士で、冠と黄色い法着を着て木の剣で何やら儀式や法術を行い、正に「霊幻道士」でお馴染みの道士の原型とも言える見た目や人物になっている。
このおじさんは歳なので機敏には動けずに周りの助けを借りてやっている笑い要員にはなっていたけれど、法術は詳しく、やる時はやる感じがかっこいい人物になっていた。
「妖術秘伝・鬼打鬼」が「霊幻道士」の基になっていると言うのはキョンシーが登場するという部分ではそうだけれど、「霊幻道士」のラム・チェンインの道士の基で言えば、この映画の方。

この映画、「妖術秘伝・鬼打鬼」のシリーズ続編と言ってキョンシーや妖怪との対決を見れるのかと思ったら全然違う映画で妖怪モノとしては全くそうではないし、内容は変な引っ張りでおもしろくはないし、最終的に誰の何の話だったっけ?になってしまう脚本の継ぎ接ぎ感があって何だかよく分からない映画ではあるけれど、「霊幻道士」のラム・チェンインの道士の大元が見られるという部分では興味は引かれた映画ではありました。

☆☆★★★

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