LOOPER/ルーパー

2022年11月14日 月曜日

ライアン・ジョンソン監督・脚本、ジョセフ・ゴードン=レヴィット製作総指揮・出演、ブルース・ウィリス出演の2012年のアメリカ映画「LOOPER/ルーパー(Looper)」

2044年のカンザスではルーパーと呼ばれる殺し屋がいた。
30年後の未来ではタイムマシンが開発されたが法律で禁止されて犯罪組織だけがタイムマシンを使っており、その犯罪組織は殺したい人間を未来から2044年に送り込んでルーパーが殺害し、ルーパーは送り込まれた人間に付けられた銀を報酬としていた。
ある日、ルーパーの一人が未来から送られて来た人間を殺そうとするが、その送られて来た人間が未来の自分だと分かって殺す事を戸惑って逃がしてしまった。
標的を逃がした為にルーパーの組織から命を狙われるルーパーが、仲間であるルーパーのジョーの下へとやって来て、かくまって欲しいと頼んで来たので仲間をかくまったジョーだったが、組織に説得されて仲間の居場所を教えてしまった。
ジョーは仕事に戻り送られて来る人間を待っていたが時間通りに送られて来ず怪しく思うが暫くして現れた人間に反撃されて逃がしてしまった。
その逃がした人間は未来の自分だと気付いた。

Amazon プライムビデオで配信が終わりそうだったので、タイムトラベルモノ位の前知識だけで見てみたのだけれど、この映画って多分話の中心軸となる部分を先に思い付いて、それを実現する為に他の設定や物事を付け足して行ったからよく分からない部分と言うか詳しい説明したら成り立たないからあえての無視やほったらかしが多いんじゃないかと思える内容で、この一々の疑問で引っ掛かってしまったり、中盤以降の何じゃそりゃな展開で終始乗って行けなかった。

タイムトラベルモノって、相当細かく設定や展開を作らないと矛盾が多くなるけれど、この映画はそこら辺は非常に曖昧にしかなっていないので、良い風に言えば想像の余地なんだけれど、単に有耶無耶で「?」ばかり。

未来でタイムマシンを幾ら法律で禁止したからと言って、それを全員が律儀に守り、唯一の犯罪組織だけがタイムマシンを使っているとか便利設定。
タイムトラベルの移送後は場所も時間も非常にキッチリ指定出来て人を送り込めるなら確実に殺せる溶鉱炉とかに送ればいいのにそういう事は思い付かないのかせず、何故か三十年前に送って人に殺させるという不便さかつ不確かさを取る理由が分からない。
ここら辺はそうしないと未来の自分がやって来れない、逃げ出せないという展開の為だけなんだろうけれど…。

そこら辺までは、まあそうなのかぁ…で見てはいたけれど、主人公の未来の年取った主人公がブルース・ウィリスという時点で一気に白けれてしまい、そこから集中力が続かない。
ジョセフ・ゴードン=レヴィットが二十数年経つとブルース・ウィリスになっているとか最早コメディ。
何故この二人が同一人物?
パッと見ただけでもジョセフ・ゴードン=レヴィットは顎が割れているのにブルース・ウィリスは割れ無しで全然違い、その違い分かった所から顎ばかり見てしまった。
未来の主人公は何か犯罪で揉めたから整形手術したとかならまだ分かるけれど、そういう描写も無いし。
多分、映画の興行とか宣伝的な部分でブルース・ウィリスを配役したから仕方ないのでブルース・ウィリスが未来の主人公にせざるを得ないという事になってしまったのかなぁ?
この話なら未来の主人公もジョセフ・ゴードン=レヴィットが老けた特殊メイクでないと成立しないのにブルース・ウィリスって余りに酷い。

その後の主人公と未来の主人公の話になって行くけれど、現在の主人公の行動で何故か未来の主人公の体の傷等が出来たり、それだけでなく記憶も変わるんだったら主人公と未来の主人公が出会った時点で未来の主人公の過去が全く別のモノになるのだから一瞬で記憶がなくなったり、未来の主人公は過去に自分を殺した歴史を歩んだのだからその歴史が無くなり、その未来の世界が存在しなくなった未来の主人公は消えるんじゃないの?とか思ったけれど、やっぱりそれもそうしてしまうとこの話が成り立たないから深く触れずに誤魔化したのだろうなぁ。

その未来の自分との話になって行くのかと思いきや主人公が農場に行き、そこから急に女性との関係をまったりやり始めて更に飽きてしまった。
これは結末を描く為に必要だとは言え結構退屈で、そこから急に「オーメン」っぽくなったり、「キャリー」っぽくなったり、始めに説明は入っていたものの、タイムトラベルモノのSFから超能力ファンタジーになってしまって一体何を見ているんだろうか?感で大分飽きていた。
超能力はタイムマシンと何か関係があって現れたのかと思っていたけれど特に何の関係も無く、単に超能力を使える人が急に現れました…というだけって乱暴だし、これも結末に必要だからという都合の良さしかない。

色々考えてみたけれど、この映画の理屈では現在が変わると現在の未来から来たモノも変わってしまうのだから、最後に未来から送られた銀がそのままあったので未来の犯罪組織はそのままで、結局未来は大して変わってないんじゃないの?と思ったら良い話風で終わっても全部が何も意味が無かった様な気がしてならないし、過去を知っていて対処も出来るのにわざわざルーパーに未来の自分を殺させるのは何か意味があって、そこら辺が未来に繋がるのかと思いきやそうでもないみたいで、結局思い付いた流れと落ちをやりたいだけなので色々適当なんだろうか?

この映画、演出や雰囲気や編集で見れはするけれど一々引っ掛かる事が多く、それの説明も無く「タイムトラベルは複雑」でぶん投げてしまう上に、SFの土台を作って置きながら原因も無い便利な超能力というファンタジーをやってしまうので、最後に来ての台無し感で乗っかっては行けず、更に未来の主人公がブルース・ウィリスという製作の都合だけの強引過ぎるやり方にも、まあ乗って行けずで、作り手としては「細かい事は気にするな それ ワカチコ ワカチコ!」なんだろうと思うと真剣に見るだけ無駄の様な気がしてならなかった。

☆★★★★

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