メン・イン・ブラック3
2022年07月27日 水曜日バリー・ソネンフェルド監督、トミー・リー・ジョーンズとウィル・スミス共演の2012年のアメリカ映画「メン・イン・ブラック3(Men in Black 3)」
ローウェル・カニンガムのアメコミ「The Men in Black」が原作。
シリーズ三作目。
月面の刑務所からボグロダイト星人のボリス・ザ・アニマルが脱獄した。
ボリスは四十年前にエージェントKに片腕を撃たれて逮捕された事を恨んでおり、KとJの前に現れてKを殺そうとするが失敗。
ボリスを捜査しようとするJだったがKのアパートに行くと別人が住んでおり、MIB本部に行くとKではない相棒が現れ、MIBの人々もKの事を知らず、唯一Kを古くから知っているOだけから「Kは四十年前に殉職している」と言われてしまう。
Jの異変に気付いたOは時空破壊が起こり歴史が変わってしまった言う。
Jはボリスが四十年前にタイムスリップしてKを殺した為に歴史が変わったと分かり、四十年前にタイムスリップしてKを救いに行こうとする。
メン・イン・ブラックシリーズを一作目、二作目と続けて見たのでこの三作目も続けて見てみたけれど、どうにもいまいちで、回を重ねる毎に尻すぼんでいる感じがしてしまった。
その大きな要因は、やっぱりトミー・リー・ジョーンズの出番が少ない事。
このシリーズのおもしろさって、真面目顔で堅物のトミー・リー・ジョーンズと常に陽気でノリとお喋りのウィル・スミスの対比の効いたバディモノだと思っているのだけれど、その一番重要なトミー・リー・ジョーンズが主人公の一人ではなく脇役になってしまっているので全体の魅力が激減。
多分、トミー・リー・ジョーンズがこの映画の撮影時2010年は64か65歳で高齢でアクションとかもきつかったのかと思うし、2012年は四作の映画に出演し、2011年には二作で、その中の「The Sunset Limited」は監督もしていて忙しかったというのもあったのだろうけれど、それにしてもトミー・リー・ジョーンズの時間が取れないからって過去に行ってジョシュ・ブローリンが若い時のKを演じて、この映画ではKはほぼジョシュ・ブローリンというのはなぁ…。
Jが過去に戻ってジョシュ・ブローリンを見てKだと言うのは相当無理があるし、苦肉の策感ばかり。
このシリーズって、二作目の時点でも一作目で上手く完結した所から記憶を消したKを連れ戻したりして苦肉の策の感じがあったけれど、今回は特にそれが顕著に出てしまっている。
二作目までZ役だったリップ・トーンも出ていないのでZを殺しちゃうし。
でも、話によるとそのZの葬儀での場面にいた宇宙人をリップ・トーンが演じていたらしく、何だか訳の分からない出演だし。
それに、パグのフランクも今回は登場しておらず、Jの自宅の壁に大きなフランクの写真が飾ってあったけれど白黒の正面写真だったのでフランクも死んでしまったって事?
話でも全く触れずお仕舞いというのも何なのだろう?
あと、新登場人物としてZに変わってボスとなったO役でエマ・トンプソンが出ていたけれど、初めは葬儀ではっちゃけて強く印象を残しておきながら後半では全然登場せずに終わってしまう、何だったの?感が強い勿体無い役だったし。
話は常に何かの説明ばかりで終始間延びした感じで、今までの次々と捜査して立ち向かって行く二人のおもしろさがなくて結構退屈してしまった。
Jが過去のKを救いに行くというおもしろさもあんまりなく、無数の可能性の未来を見ながら生きている宇宙人グリフィンが便利過ぎてJとKの捜査感が無かったし。
このシリーズ特有の、悪い宇宙人が何かを求めているけれどそれで何をしようとしているのかがいまいち分からないので地球の危機感に乗って行けないというのも今回もそうだったし、結局初めのJだけが何故元の記憶を持っていたのかもよく分からないままだったし。
最後のKとJを繋げるのもやり過ぎ、狙い過ぎ感が強くてさめてしまったし、Jってあの距離で懐中時計を目視出来るって凄い視力。
過去のKが使っていたニューラライザーは真空管の付いた巨大な装置だったり、別のバッテリーから充電してからでないと使えない昔だからのローテクを見せておきながら、一方で現代のMIBでも使っていないハイテクなジャイロバイクを容量的に収まらないだろうと思う自動車の中に仕込んでいたりと過去と現在の技術差が無茶苦茶。
この全体的な何だかなぁ…と思うのは何かと思って調べてみたら、撮影は2010年11月16日に始まったのに、6月の時点で脚本が書き直され、11月に新たに脚本家が雇われて過去部分が書き直されて、撮影が始まっても中盤以降は完成していなかったみたい。
大分バタバタで突き進んで行った感じだからなのかな?
あと、気になったのはこのシリーズ毎度の原作のクレジット。
一作目のオープニング・クレジットでは「BASED ON THE MARVEL COMIC BY LOWELL CUNNINGHAM」
二作目では「BASED ON THE MALIBU COMICS BY LOWELL CUNNINGHAM」だったけれど、今回は「BASED ON THE MALIBU COMIC BY LOWELL CUNNINGHAM」
マリブ・コミックスって1994年からマーベル傘下だから何故マーベルじゃないのか?だし、「The Men in Black」の一番初めはエアセル・コミックスからの出版なのに何故マリブなの?だし、何故今回は「MALIBU COMIC」で「S」が無いのかもよく分からない。
この映画、やっぱり見たかったのはトミー・リー・ジョーンズとウィル・スミスのやり取り、やり合いであって、ジョシュ・ブローリンの別人のKが見たかった訳でないので終始すかされたままで話が勝手に進んで行く感じだった。
流石にトミー・リー・ジョーンズとウィル・スミスのメン・イン・ブラックの続編となるともうなさそうで、トミー・リー・ジョーンズが大分足りないこの映画で終わりか…となると結構寂しい。
☆☆★★★
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メン・イン・ブラック:インターナショナル