レッドプラネット

2022年06月18日 土曜日

アントニー・ホフマン監督、ヴァル・キルマー主演の2000年のアメリカ映画「レッドプラネット(Red Planet)」

二十一世紀の地球では環境汚染が進み、その解決策として火星への移住を計画し始めた。
人類は火星に無人船で藻類を送り込み、藻類によって火星に酸素を供給し始めていたが、ある時急激に酸素レベルが落ちた為六人を乗せた宇宙船を火星に調査に向かわせた。
半年の航行後に宇宙船は火星の軌道上に到着したが太陽フレアを受けて破損。
船長一人を宇宙船に残し、五名が着陸船で火星へと脱出した。
火星には先に送り込んだ無人の施設があり、そこへと向かうが大きな嵐にも耐えられるはずの施設が破壊されており、乗組員達の宇宙服の酸素が無くなり、施設から補給も出来ずに死を迎えようとしていたが、宇宙服のマスクを開けると呼吸が出来た。
何故か火星に薄いながらも酸素があり、乗組員達は何とか宇宙船と連絡を取って帰還しようとし始めた。

ヴァル・キルマーが出ている、火星で何かある位の前知識で見てみたけれど、ハードSFを土台にハリウッド映画的な典型や見せ場を入れ込んだら、ハードSFとしてもハリウッド映画的アクションSF映画としても微妙になってしまった感じ。

火星移住の為に藻を使って酸素を作り出そうとするとか、しかし何故か酸素が減ってしまったので調査に行くと何故か大気に呼吸出来るだけの酸素があったというミステリー的なハードSF要素があり、火星に逃げざるを得なかった後、火星で絶体絶命の中でこれまでに火星に送られた探査船を使って火星から脱出しようとするサバイバルSFとしては結構おもしろい題材なのに、それだけでは地味で人を呼べないと思ったからか、何故か人間を殺そうとするロボットとか、結局何だか分からない虫とか、ヴァル・キルマーとキャリー=アン・モスの恋愛要素とかを入れてしまったので散漫になってしまって、結局何を見せたいのか分からない映画になってしまった印象。

登場人物は六人だけなので、この人間関係で見せるのかとも思ったけれど、初めはそんな六人の会話劇で進んだものの火星に行くと意味も無く急に登場人物が死亡し、残った三人もおもしろい関係を見せず、最後に脱出出来る探査船は二人しか乗れないのでそこでの葛藤を描くのかと思ったら都合良く登場人物が死亡してヴァル・キルマーが生き残るとか、何の為の登場人物だったのか分からない様な登場人物達。

設定とかも、宇宙空間を長期間航行する宇宙船が太陽フレアを受けて壊滅状態って、何で対策していないの?と疑問だし、ロボットのAMEEは登場人物の便利な道具としては活躍せず、このロボットは誰からの助けも無い状態で何の迷いも無い機械が殺しにやって来るというサスペンスをしたかっただけの為の導入だったし、藻で酸素を作り出すのに酸素を作り出す虫がいたのは回りくどいし、藻で十分酸素を作り出せるのにその藻を食べてしまい、予想よりも少ない酸素しか生み出さず、金属の施設も崩壊させる危険な虫が地球を救うとは思えないし、やっぱりこの虫も人間には意図が不明な恐怖が襲って来るというエイリアン的なホラーをしたかった為の導入で、そんなに色んな要素を入れなくてもと思ってしまった。

あとそんなに科学技術が進んでいる訳でもないのに既に人工重力を使っているのは撮影での予算の都合か。

役者は、1990年代は勢いが良かったヴァル・キルマーが何だかいまいちパッとしなくなった時期だったと思うけれど、この役も初めは変わったサングラスをかけてガムを噛み続けていて結構癖のある人物かと思いきや、映画が進んで行くと大分普通な人物でしかなく、終始弾けないまま。
キャリー=アン・モスは1999年の「マトリックス」大ヒット後の2000年のこの映画で、結構美味しい役だし、最後活躍するのが彼女なので、最終的には誰が主人公だったっけ?になってしまった。
2008年からのテレビドラマ「メンタリスト」の主人公パトリック・ジェーン役でお馴染みになったサイモン・ベイカーが出ているけれど、この役ももう少し葛藤したり、活躍したりがあるのかと思いきや薄くて終わってしまった。
その他トム・サイズモアテレンス・スタンプベンジャミン・ブラットも出ているけれど、もう少し役を立ててもよかったのでは?と思う物足りなさだった。

この映画、ロボットと虫がなければサスペンスSFと人間関係で見せるSF映画になっていた気がしないでもない映画で、変にハリウッド的な方向性にせずにハードSF方面で攻めたらもっとおもしろくなっていた様な気がしてしまった。

☆☆★★★

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