ホワイトハウス・ダウン
2021年09月16日 木曜日ローランド・エメリッヒ製作・監督、チャニング・テイタムとジェイミー・フォックス共演の2013年のアメリカ映画「ホワイトハウス・ダウン(White House Down)」
下院議長の議会警察官ジョン・ケイルはジェームズ・ソイヤー大統領を尊敬している娘の為にシークレットサービスの面接を受けたが採用にはならなかった。
面接後にジョン・ケイルと娘はホワイトハウスの見学ツアーに参加していたが、ホワイトハウスが爆破され謎の武装集団がホワイトハウスにいた人々を人質に取り立て籠もった。
娘がいない事に気付いたジョン・ケイルは娘を探す為に武装集団と戦うが、ジェームズ・ソイヤー大統領も捕まってしまった事を知り、大統領を助け出してホワイトハウスからの脱出を図ろうとする。
Amazon プライムビデオで配信が終わりそうだったので見てみた映画。
正に題名通りのホワイトハウスを舞台にしたアクション映画で、派手な爆発や次から次へとの銃撃や格闘場面の連続で中々おもしろくはあったけれど、所々で出て来る古臭い滑っている演出で覚めてしまい、見終わるとその悪い部分ばかりが引っ掛かってしまった。
アクションでは、主人公が一人で頑張って大統領を助けるのかと思いきや、大統領も結構戦いに参加して主人公と大統領のバディ・ムービーっぽい雰囲気で、戦闘には詳しい主人公とホワイトハウスに詳しい大統領が助け合いながら頑張る展開は楽しいし、格闘や銃撃戦もおもしろく見せていてワクワク感は結構ある。
ただ、その他諸々が何十年前のハリウッドのアクション映画の典型なんだ感が一杯で、まるでパロディ映画の様。
設定は閉鎖されて隔離された場所で犯人は人質を取り、敵は多数の中で主人公が頑張り、外の人と情報をやり取りするって、映画「ダイ・ハード」のナカトミ・プラザをホワイトハウスに変えただけの発想。
主人公は元軍人で離婚して自分に興味を示してくれない思春期の娘との仲が上手く行かず何とか振り向かそうという時点でベタ過ぎな人物設定で、初めの時点で娘は主人公をおびき出す為に犯人に利用されるというのが丸分かり。
しかも、主人公は自分の名前と娘の名前が書かれたチケットをキッチリと持ち歩き、終盤でキッチリと敵が気付く様に落とし、それを見て敵が娘の存在に気付く都合良さ。
ホワイトハウスが爆破されているのに気を抜き過ぎな警備官達は次々と殺され、様々な情報機関はあれだけ人がいるのに何も出来ずにやられ放題。
警護隊長は息子の復讐が目的で事件を起こしたけれど、自分の余命も無いから戦争起こして大勢死んでしまえ!と何だか分かる様で分からない理屈にして最終盤で話をデカくして、調べたら幾らでも分かるだろうと思う穴だらけな作戦で大丈夫だと思っている黒幕の議長で更にどんでん返ししたり、終盤になると脚本が雑に思えた。
敵も未だにこんな感じの悪役にする?と思ってしまう如何にもな設定だったり、頻繁に登場して個性の強かった髭の犯人は特に何もせずに退場するし。
その髭の犯人を倒した見学ツアーの案内人は傷付けないで欲しかった大事な美術品で敵を倒すとか、これが一番寒かったかも。
本当にこれを今やってしまうの!?と思ったのは、大統領が撃たれて死んだと思ったでしょ!でも懐中時計が銃弾を防いでいたので生きてました!というの。
これ、笑いでやっているかと思ったらそうでもなく、結構本気の「どうよ!」感を感じられて戸惑ったのだけれど、見終わった後にこの映画の監督がローランド・エメリッヒだと知って、だからか…と納得。
脚本はローランド・エメリッヒじゃないのに、この映画の「ん?」とつまづく部分は「ローランド・エメリッヒだから」で凄い納得出来てしまう不思議。
この映画、見た目は派手で、中身が詰まっている様でスカスカ感を感じる正にローランド・エメリッヒ映画。
ローランド・エメリッヒ映画は引っ掛かったり、つまづいたり、突っ込んだりした方が悪いのだろうなと思う程、常にローランド・エメリッヒだし、ローランド・エメリッヒを貫いているのでいいのだろうけれど、興行収入的には製作費1億5000万ドルに対し、全世界興行収入が2億ドルだったので、多分宣伝費を含めると結構な赤字だったはずで、2013年でも既にローランド・エメリッヒを貫かれてもなぁ…にはなっていたんじゃないだろか。
☆☆★★★