ザ・シェル 第三次大戦

2021年06月29日 火曜日

アンドリュー・ベルウェア監督・脚本・撮影、ケイト・ブリットン主演の2017年の映画「ザ・シェル 第三次大戦(Carbon Copy)」

AIの第三次反乱で人間は隔離した地域にだけ住んでいた。
防衛軍のバーバラはドローン戦闘機との戦闘で怪我を負い、両足がマヒしてしまった。
落ち込むバーバラに妹がアンドロイドであるシェルに意識を移して外に出ようと誘われ繁華街へと行くがドローン戦闘機の攻撃にあう。
シェルを助け出したのは政府に抵抗する反乱軍で、レンタルしたシェルが仲間だと思われていた。
バーバラは以前にレンタルした人物がいると言うが反乱軍の人々は一向に話を聞かず、おかしくなった仲間を調べる為に意識に入り込んでしまう。

Amazon プライムビデオで配信が終わりそうだから見てみるシリーズで見たけれど、久々にこんな酷い映画を見た。
低予算の至る所の安さもそうだけれど、話の内容も撮影技術や編集も相当酷かった。

IMDBでは製作費が50万ドルなんて書かれているけれど、絶対嘘だと思う程の安っぽさ。
本来なら映像で見せて世界観を作って、起こっている出来事を映像で説明しないといけないのに、それがほとんど無くて登場人物の会話だけで進んでしまう。
どうみても本当に人がそのままなのに、それは人間そっくりなアンドロイドだと言い張る。
そのアンドロイドに意識を移すのは一体何を使ってどうやるのかを見せずに、主人公の意識が飛んでアンドロイドが動き出す。
主人公は両足がマヒして、その後手術で機械の義足にしたらしいけれど、その足は一切見せず。
ほとんどの場面は狭い小部屋で少人数(主に二人)での会話。
やたらと主人公の自宅の小部屋ばかりが出て来る。
部屋も近未来的にしようとはしているけれど、黒スプレーで汚しただけの壁だったり、ほぼ何も無い部屋ばかりで、その部屋の隅の方の壁の前の同じ位置ばかりが映される。
外でのロケもあるけれど、ほぼ同じ場所。
なのにドローンのCGは結構作り込んでいて、これは普通に見れるのに、それ以外のCGは人間は皆同じ不自然な動きだったり、背景の合成は今時にしては浮きまくり。

撮影も酷く、固定カメラの人物のワンショットなのに、その人物が話すとカメラが揺れてしまっていたり、同じ場面なのに人物毎の光量が違って一人は白が飛びそうな位なのに別の人は暗過ぎて灰色になっていたり。

音声も、話している人の環境音を拾い過ぎていて話すと雑音が入り、話を止めるとぷっつりと雑音が無くなり、室内での面と向かっての会話なのにまるでトランシーバーで話しているかの様な音声。

編集も、相手を追いかけている場面では人が走り去った後数秒何も無い路地をただ映していたり、今までなかったワイプによる場面転換が急に入ったり、そのワイプが画面端からもう一方の端に行く前の画面真ん中辺りまで位の時にブッツリ終わって次の場面に行ったり、台詞終わりの音にブツッと雑音が入っていたりと、まあ酷い。

演出も、アンドロイドに見えないアンドロイドがドタドタ走っていても、あんなに素早いと登場人物に言わせたり、何故か主人公の話を全く聞かずに自分達で会話を進めるテロリスト達とか、ドローンとの戦闘場面は皆がぼーっと突っ立っていたり、もう無茶苦茶。

話は機械に意識を移してのてんやわんやなのは分かるけれど、ほとんど描いていなかったのに突然愛しているという話になって落ちの為の唐突感が半端無かったし、結局最後の主人公がいた場所は何?
あのアンドロイドに意識を移す仕組みって、一旦意識を移したら人間の体を何しても意識は戻らないという、ほぼ脳移植みたいな事なの?
あの最後の主人公はアンドロイドの中に残ってしまったカーボン・コピーで、主人公は肉体の方で意識が戻っていて、結果主人公は変な記憶体験をしただけで、アンドロイドは新たな人格で独立的に起動して、テロリスト達と行動するようになったって事?
と言うか、あのアンドロイドが複数体いたという話は何?
と言うか、あのアンドロイドを追いかけていた二人の話って全くいらなくない?

この映画、安っぽいし、技術的にも酷く、何で作られたのかが知りたいくらい。
学生やアマチュアが作ったぽい感じがするけれど、アメリカではこういう映画はどういった経緯で作られて、劇場でも公開されたのだろうか?

気になったのでこの映画の事を調べていたら、衝撃の事実が!
この映画の監督アンドリュー・ベルウェアへのインタビューによると、何とこの映画「作ったはいいけれど、日本でしか見れない」らしい…。

Scream Writing Questions with Andrew Bellware

最早配給も意味不明。
アメリカでも何処も引き取らなかったって事?
日本だけが配給権を買ったって事?
じゃあ、日本のアマゾン・プライムの配信が終わったら、全世界での配信終了?

調べ方が悪いのか、この映画についての詳しい事がこれ以上分からなかったけれど、更に衝撃の事実が!!
アンドリュー・ベルウェアの他の映画を調べたら、2020年に「Android Uprising」という映画があったのだけれど、このポスター?サムネイル?がこの「ザ・シェル 第三次大戦」とほぼ一緒。
気になって予告編を見てみたら「ザ・シェル 第三次大戦」と微妙に違う編集だけれど全く同じカットがほとんど使用されていて、題名だけが違う。
「ザ・シェル 第三次大戦」の権利や配給関係の問題で同じ映画のリプリント版を作ったの?と思ったのだけれど、脚本のクレジットはスティーブン・J・ナイルズと別人。
と言う事は、「ザ・シェル 第三次大戦」とは違う完全新作?
でも、演じてる役者は同じで役名も同じなので、一体何これ?

★★★★★

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