小松左京のSFセミナー

2009年05月20日 水曜日

最近、「スタートレック ヴォイジャー」ばっかりで本を読んでいない事に気付いたので、何か中断してもダイジョブな本は?と思い「小松左京のSFセミナー」読んでみた。

第一講で書かれるこの80年代当時の日本のSF大会には興味無いし、第二講の海外SFの歴史も大体認識しているので、「どうかなぁ…?」と中断が入ったが、その後の日本の大衆芸能史や、特に戦後のSFに至る日本の近代SF史などは知らない事が多く、ここら辺から楽しくなって来る。
「SFと文学」では、文学に至る一般文学論や、宗教や文化における世界の書き物や文学の立ち位置、純文学や私小説に対する斜見など、まさに大学での講義の様で知識を得、関心していたし、著者の文学、SFに対する思いが見れて熱い。

てっきりSF解説本だと思っていたけれど、確かにそうなのだが、それだけでない幅広い書き物、読み物、文化の世界を見せる濃い本だった。

しかしこの80年代当時、特に最終講では、社会もSFも上り調子で開けた明るい感じが読んで取れるのだが、今振り向くと、世界の視野は広くなったが結局はそこに閉じこまっている感は強いし、元々日本では漫画や映像系の勢力が強かったのもあるのか「SF」が拡散、浸透しすぎていて、SF小説という分類は端っこの方でこじんまり…となっていて、そこの時代を体験していないからこの本自体が今から見ると何だか明るいSF、80年代日本SFに見えてしまった。

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