アーマード 武装地帯

2014年11月20日 木曜日

サム・ライミ製作、ニムロッド・アーントル監督、マット・ディロンジャン・レノローレンス・フィッシュバーン共演の2009年の映画「アーマード 武装地帯(Armored)」。

タイ・ハケットはイラクから帰還した元兵士だったが両親に先立たれ、弟との二人暮らしで家計はきつく、家を差し押さえられそうになっていた。勤め出した警備会社で正式採用されたが、身元保証人にもなってくれている仲間から銀行から輸送される大金を強盗が襲った様に見せかけて奪おうとする話を持ち掛けられ悩む。

この映画、ローレンス・フィッシュバーンやジャン・レノが出演しているから見てみようと思ったけれど、ローレンス・フィッシュバーンやジャン・レノが出演しているからこそ微妙なんだろうなぁ…とも思い、その思いの通りの微妙な出来の映画だった。
色々な部分で足りな過ぎる事が多い。主人公は色々な悩みを抱えながら、それが解決出来ると思って強奪計画に参加するけれど、仲間が人を殺したので寝返って装甲車に立て籠もってしまい、すでに自ら飛び込んだ犯罪をあっさり止めてしまう部分がよく分からない。現状が厳しくて参加したのに、すぐに自首しても職を失くし、下手すると逮捕され全てを失うのに、根本が良い人だから?というはっきりとした説明も無く、雰囲気しかない理由で仲間と敵対するので、主人公の動機や行動が常に場当たり的にしか見えず「何がしたいの?」と見ている方も戸惑う。しかも、この主人公が何か行動する度に人が怪我したり死んで行くので、見ていても「余計な事すんな!」という疫病神にしか見えないのも痛い。
他の人物も、マット・ディロンも初めは結構良い人だったのに、後半になると特に理由や葛藤も描かれず狂暴になってしまい、人物の変化は性急さばかりだし、ローレンス・フィッシュバーンは大作や有名作では良い人を演じるけれど、それ以外だと下品な悪役が多いというのが今回もで、「問題起きたら撃ち殺せばいいじゃん!」という頭の悪さしかない典型的な悪役で跳ねないし、ジャン・レノに至っては仲間の中でも一番存在感の薄い人物で、「何で出ているの?」と思う位印象に残らないし見せ場もほぼ無い。
話も、前半は主人公の境遇を描く人間ドラマで結構見せる感じなので、後半の中途半端過ぎる立て籠もりの対立の緩さが際立ってしまう。強盗に見せかけて輸送金を奪うとは言っているけれど、本来の作戦ではどうやって誤魔化すつもりだったのかさえ出て来ないし、誰もいないと思っていた倉庫に人がいたりと、危ない計画なのに下見やその倉庫での下準備を全くしていないのかという様な無計画しかなく、こんな人物達の群像劇だとしても頭の悪いチンピラ同士の身内の喧嘩にしか見えず、話が凄いチンケなだけ。チンケな話でも上手さがあれば良いけれど、主人公が立て籠もってからは、周りの仲間は必死に輸送車の蝶番を外す為に金属の棒を振り下ろすだけなのでサスペンスとしては全然ハラハラしないし、仲間との駆け引きも対して無いまま物凄くダラッと終わってしまうので、まあ盛り上がりも無い。

この映画、結局脚本の薄さが問題。もっともっとおもしろくなるだろう要素があるのに、人物の描きが薄い。強奪計画がヌルい。立て籠もりからの展開がそれ程無く、意外性や緊迫感が無く、サスペンスとして非常に薄味で味気無いモノになってしまっている。

☆☆★★★

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