サイレント・ワールド 2011
2013年10月24日 木曜日マイケル・シャンクス主演の2010年のカナダ・オーストラリア映画「サイレント・ワールド 2011(ARCTIC BLAST)」。
オゾン層の破壊によって穴が開き、南極付近から低温の冷気が噴出し始めた。この低温の冷気は一瞬で人や物を凍り付かせながら世界を覆い始める。それを防ごうとする気象学者が主人公のディザスター・パニック映画。
地球の人間の生活環境の破壊によって引き起こされる人間に対する脅威では珍しい低温が題材。ただ製作費が安い様で、冷気のCGが安っぽく浮いている。CG以外の冷気も単なる白い煙なので、恐怖が襲って来るという感じは無く、「製作陣が現場で煙焚いてるんだろうなぁ…。」という事しか思わない。
安っぽいのは冷気だけでなく、演出や構成も。本来は徐々に迫る冷気の恐怖や終末観を映像で見せないと見ている方には納得が無くなるのに、ほとんど登場人物達の会話の説明台詞だけで話が進み、人が実際に冷気に襲われても一瞬で凍り、瞬殺なので悲しみも無い。
この題材だけに主人公はもちろん気象科学者で、市井の普通の科学者なのに政府を手伝う有名な科学者よりも何故か正しい事を知っていて、しかし初めはそれも聞いてもらえなかったのが最終的に彼が世界を救うという、ベタな、ベタ過ぎる展開のみ。主人公の背景としても離婚間近、娘との関係も良くない、信頼出来る同僚がいて彼女と共に調査するという、これまたベタな、ベタ過ぎる設定。この設定も全て台詞で説明され、離婚調停や、同僚の糖尿病のフリは、思った通りの展開しか見せない。同僚の糖尿病の話もわざわざ入れたにも関わらず物凄くどうでもいい話でしかないし、全体的に王道を進んでいる風だけれど、そこに意外性や驚きはもちろん無く、普通にしょうも無いだけ。
あと、出ている役者も凄い地味と言うか、垢抜けない感じ。普通の人と言えばぴったりなんだけれど、画面的な地味感と言ったらありゃしない。主演のマイケル・シャンクスって、「スターゲイト SG-1」のダニエル・ジャクソン役の人か。言われて「そうか…。」と思う位、全然気付かなかった。
この映画を見ていると、馬鹿にされたり、ネタにされる事が多いハリウッドのディザスター・ムービーって意外と良く出来ている事を認識させられる。見ている方を引き離さない様にちゃんと映像的に見せる構成と編集をしているし、群像劇も卒なくこなしている。この映画みたいに全てが中途半端な規模で大規模なディザスター・ムービーをやってしまうと、ただ安っぽさが強調されるだけ。脚本がおもしろければ見れるけれど、脚本も普通につまらないだけで、似た様なディザスター・ムービーが幾らでもあるのに、この映像と内容でその手の劣化版の亜種を更に作った意気込みが不明。
★★★★★