トゥームストーン
2013年10月15日 火曜日ジョージ・P・コスマトス監督、カート・ラッセル、ヴァル・キルマー共演の1993年の西部劇映画「トゥームストーン(Tombstone)」。
西部開拓時代。ワイアット・アープは保安官を引退し、シルバーラッシュで賑わうトゥームストーンの町へと儲けにやって来た。そこには旧友のドク・ホリデイもおり、無法者集団カウボーイズとの戦いに巻き込まれて行く。
わたしが好きなカート・ラッセルが出ているから見たけれど、西部劇はワイアット・アープとビリー・ザ・キッド以外に描くモノは無いのかと思える、良く言えば王道、悪く言ってしまえば在り来たりな西部劇でしかなく、面白味の無い展開。始まって一時間以上、登場人物や町の状況説明ばかりで、カート・ラッセルやヴァル・キルマーの派手な銃撃場面も無く退屈。ワイアット・アープがそれまで争いを回避していたのに、中盤になると急に敵を撃ち殺しまくる行ってしまった人になり、前半と後半では全然雰囲気が違う。銃撃戦もあるけれど、それも敵が銃撃っても近距離でも当たらず、ワイアット・アープ側が銃撃つと皆殺しになる都合の良い銃撃戦ばかりで、そんなワイアット・アープの殺戮場面を延々と見せられても飽き飽き。そもそも西部劇の多くが、頭の悪いチンピラ、ゴロツキが「喧嘩売られた!」だののしょうもない理由で銃をチラつかせて、結局はやっぱり主人公側に殺されるという全く面白味の無い展開ばかりなので正直興味も無い。
基本的に登場人物誰もが無法者でしかないで、見ていても「ふ~ん…。」位。ワイアット・アープも押し掛けヤクザの様なやり方でバーでの賭博から金を巻き上げて町の有志面だし、結婚予定らしい相手がいるのにたまたま見かけた女性の尻を追い駆け回すし、金を持ち出すとアープ一家はドンドン増長し出すし、自分達が撃つ殺す分には良いけれど仲間が殺されれば敵を数十人と殺して回るし、こんな人物達を正義の主人公風に描かれても、見ている方からすると人物と描き方がチグハグ過ぎて、どうしろと言うのだ?
出ている役者は結構見た顔が多い。カウボーイズのリーダーカーリー・ビルは「24」でノア・ダニエルズ副大統領役だったパワーズ・ブース、その相棒リンゴはマイケル・ビーン、カウボーイズの部下は「Terra Nova」でテイラー司令官役だったスティーヴン・ラング、カウボーイズ側に付いているビリー役は「ビバリーヒルズ高校白書」でブランドン・ウォルシュ役だったジェイソン・プリーストリー、市長役は「Lost」のジョン・ロック役のテリー・オクィンと、この時は脇役だけれど、今見ると「あの人じゃん!」という役者が多く、この映画前後の時期はスターだったカート・ラッセルやヴァル・キルマーが、その後パッとしなくなって行く事を思うと、何か複雑な役者の出演。
この映画、役者や見た目は良いのに、肝心の人物像が誰もが調子乗った頭のおかしな殺人狂でしかないので、見ていてもつまらない。
西部劇が流行らなくなったのって、結局何やっても今までの映画の焼き直し感しかなく、1980年代から1990年代にかけての爆発・銃撃・敵皆殺しで解決してしまうハリウッド・アクション映画よりも新鮮味や映像的おもしろさが無く、無法者同士の馬鹿馬鹿しい殺し合いに終始している安っぽさばかりだったからというのが、この映画を見るとよく分かる。
☆★★★★