リプレイスメント

2013年04月20日 土曜日

キアヌ・リーブスジーン・ハックマン共演の2000年のフットボール映画「リプレイスメント(The replacements)」。

あるプロアメリカンフットボールのチームの選手達が年俸の上限撤廃を要求したけれどオーナーに拒否された為にストを決行。怒ったオーナーはかつての名コーチのジーン・ハックマンを雇い、彼に代理選手(リプレイスメント)で残り試合を戦う事を依頼。その選手達はほとんどが基礎体力や飛び抜けた力を持ってはいるけれど全くのフットボール素人。アマチュアや、かつてフットボールをやっていて現役を長い間離れていた選手ばかりで、どうなる事かと思われたが、その素人で構成されたチームが勝ってしまう。

ジーン・ハックマンは何でもこなす役者だから分からなくもないけれど、キアヌ・リーブスってコメディはほとんどしないから、てっきりこの映画は二人の対立からの相互理解をして行っての勝利する真面目なフットボール映画だと思っていた。しかし、この映画、完全なるコメディ。
一番の核であるフットボール映画としては、現役を離れていたり、カレッジフットボールでそれなりに活躍した、もしくは活躍すらしていないほぼアマチュアの素人軍団が2週間程の練習をしただけでNFLで勝利してしまい、元の選手達はプレーオフに出れるかもしれない位の結構強いチームなのに、何故か素人共の方がフットボールに対する情熱があり、強いって、この設定や話自体が全く笑えないコメディ。全然詳しくないけれど日本のプロ野球で例えるなら、シーズン終盤に2・3位辺りに付けたチームの選手がスト起こしたので、元高校野球で甲子園に行った会社員やコンビニエンス・ストア店員とか、草野球しているおっさんを連れて来て少し練習させたら優勝してクライマックスシリーズ行きました…なんて、これを本気でやられたら苦笑だけで真面に見る映画じゃないって話と同じ。それをこの映画は、それが感動的だと言う風に作っているのだから…。
コメディとしては、脇役達はドタバタはしゃぎまくるけれど、主人公であるはずのキアヌ・リーブスはカッコ付けてコメディにほとんど参加しないので、キアヌ・リーブスとジーン・ハックマンの関係やチアリーダーとの恋愛劇といった真面目な方の話との乖離が激しく、別々の映画の企画を無理矢理くっ付けた感じさえある。しかも、笑いはもらいゲロで取ったりするモノだから…。
キアヌ・リーブスはカレッジフットボールの名選手だったけれど大敗し、失意のままボート暮らしで、この落ちぶれてはいるけれどやる気を出せば強いとか、チアリーダーのリーダーとの恋愛劇とか、余りにベタ過ぎる設定で主人公の話はまあ面白味は無い。それにキアヌ・リーブスは185cmもあるのに、チームメイトに囲まれると一人頭半分位小さく見えてしまう。クォーターバックにしては華奢過ぎるし、周りのチームメイトが無茶苦茶な変な奴らばかりだから、口数の少ないキアヌ・リーブスがリーダーシップを取るとかも何だかなぁ…。
試合の映像もアップでのスローモーションや短いカット割りで誤魔化してはいるけれど、皆モタモタ、ドタドタ走り周り、酷い感じだし、主要登場人物達は皆オフェンスの選手なのでディフェンスの時間はほぼ無しという微妙なフットボールを見せるし、時間的にも厳しいから試合の映像はダイジェスト程度で、盛り上げなくてはいけない場面がお座なり。

日系人なのか分からないけれど一人相撲取りが選手の中にいて、ちょんまげをしているけれど、何故か頭頂部を剃っている武士のちょんまげでニタニタしてしまう。更にその選手がやって来るとジーン・ハックマンが日本語らしき言語で「ヒサシブリダナ(久しぶりだな)」と言うモノだから、更にニタニタ。この選手「FUMIKO(男なのに史子?)」という謎の名前で、怒ると「何ですか~!」と大声で叫ぶ意味不明な人物でやっぱりニタニタ。流石に明石家さんまの「ナンデスカマン」が元ネタじゃあないだろうけれど。

一番驚いたのは、スワット隊員の狂気的な選手役のジョン・ファヴローって、役者でもあるけれど映画「アイアンマン」シリーズの製作総指揮や監督している人だった事。「ザスーラ」とか、機械的な物や派手なアクション映画撮る人なのに、見た目が危なめの厳ついおっさんだというそのズレに、何か物凄く好きになって来た。

この映画は全てに置いて中途半端過ぎる。コメディ部分はキアヌ・リーブスが絡みが少な過ぎ。期待するキアヌ・リーブスとジーン・ハックマンとの真面目な対立や理解への道のりもお座なり。恋愛部分は完全に付け足し程度。重要なフットボール部分がコメディだし、試合映像は全然迫力が無いしで、とにかく色んな要素詰め込んだら、見事バラバラにしかならなかったという、なかなかの酷い出来。

☆★★★★

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