スウィート・ノベンバー
2012年12月27日 木曜日キアヌ・リーブスとシャーリーズ・セロンが共演した2001年の映画「スウィート・ノベンバー(Sweet November)」。1968年の「今宵かぎりの恋(Sweet November)」のリメイク映画。
自動車免許の更新の為に訪れた試験場で出会ったキアヌ・リーブスとシャーリーズ・セロンの恋愛物語。シャーリーズ・セロンの急な申し出「一ヶ月間恋人として、同居し、仕事は一切しない」という条件をキアヌ・リーブスが飲み、11月の一ヶ月間二人で暮らす事になる。
近年のアメリカの恋愛映画の王道的過ぎる設定、仕事で成功し金持ちだけれど気難しい性格の男性と、自分の感情に素直で自由奔放な普通な女性という、見慣れた人物像の主役二人。しかもキアヌ・リーブスは広告代理店の広告屋という、これまた恋愛映画でよくある職業。今年見ただけでも「偶然の恋人」のベン・アフレック、「ハート・オブ・ウーマン」のメル・ギブソンと、これで三人目。アメリカでの広告・宣伝業って、そんなに心無い人ばかりで、仕事しかしない人ばかりが働いている印象が強いのか。
で、このキアヌ・リーブスって、全然出来る男じゃあない。この映画の初めの宣伝のプレゼンテーションで、顧客を侮辱し、速攻で首に。出来る場面が無いのに、出来る男という設定には無理あり過ぎ。
始まりからして、室内での映像の色味が少し暗い緑色で、しかもキアヌ・リーブスが黒い色のスーツを着て、その格好で携帯電話で話しながら忙しく歩くモノだから、非常に「マトリックス」的。恋愛映画で雰囲気は全然違うのに、何でわざわざ被る様な雰囲気にしたのだろうか?
一方のシャーリーズ・セロンは常に陽気な女性で、かつ危険な雰囲気の女性。実際に危ない。自分が選んで一生懸命に人生を歩んでいる人をとっ捕まえて、「あんたの人生間違っている!」と説教し、自分と住む事によって自分の思い通りの人間に洗脳して行く。しかも相手は常に男性で、肉体関係付き。彼女は自分が正しい風でキアヌ・リーブスに説教をするのだけれど、「??」ばかりな話ばかりで、キアヌ・リーブスの主張が真面過ぎる程真面な事を言い、シャーリーズ・セロンが単にヤバい人にしか見えて来ない。これって、女性が男性の肉欲や恋愛感情を利用し洗脳をするサスペンスかとも思ってしまった。
それに構成や演出が非常にあざとい。中盤まで無茶苦茶な強引女の話で全く集中力が無くなるのに、終盤になると難病モノで、エンヤの歌がかかり出す。強引な恋愛モノから、泣いて下さいと大声で叫びまくる感動モノに持って行く。この構成の白けっぷりと言ったら…。
シャーリーズ・セロンの化粧も、今までガッツリバリバリな美人メイクだったのに、病気だという事を観客が知ると突然病弱メイクになり、結構やり過ぎな顔面蒼白なので最早コントメイク。
キアヌ・リーブスの上司役でロバート・ジョイが出て来るのだけれど、吹き替えが稲葉実で、眼鏡をしていないだけで思いっ切り「CSI:ニューヨーク」のシドだったので笑ってしまった。
シャーリーズ・セロンは好きな事しても後は死んで行くだけなので投げっ放しでいいけれど、キアヌ・リーブスは生きて行く為に必死で生きているのに、それをどうこう言い、生き方を変えさせようなんて身勝手もいい所。病気と必死に闘いながら身近な人に生き方を問うなら納得するけれど、これじゃあシャーリーズ・セロンのオナニーを無理矢理手伝わされている感じ。更に結末もこのシャーリーズ・セロン並みに投げっ放し。
流石ゴールデンラズベリー賞の最低男優賞・最低女優賞・最低リメイク及び続編賞に選ばれるだけの映画。
☆★★★★