リオ・グランデの砦

2012年11月29日 木曜日

ジョン・フォード監督、ジョン・ウェイン主演の1950年の西部劇映画「リオ・グランデの砦(Rio Grande)」。

南北戦争後の時期、ジョン・ウェインが指揮官を務めるリオ・グランデの駐屯地に新兵がやって来るが、その中にジョン・ウェインが長年会っていなかった自分の息子がいた。更に妻までやって来て、親子関係でジョン・ウェインが悩む。

「リオ・グランデの砦」と言われたら「アラモ砦の戦い」を思い浮かべ、陰惨で追い詰められた籠城の銃撃戦かと勝手に思っていたら、上手く行っていない一家の家庭問題を中心に描くホームドラマ。しかも、兵士達が歌を歌う場面をやたらと入れて来て、これがまるで恋愛映画の様な甘ったるさで汗臭い兵士には全く似合わない上つまらなく、全体的に非常にまったりした雰囲気。わざわざ軍隊の西部劇でこんな家族ドラマせんでもと思えてしまう。
一応銃撃場面もあるけれど、兵士達の弾は敵のネイティブ・アメリカンにガンガン当たるけれど、ネイティブ・アメリカンの弾はそんなに当たらないという都合の良いモノだし。ネイティブ・アメリカン達の状況や心情を描かず、入植者達からしたら単なる悪でしかない西部劇って本当に下らない。

あと、決闘の後、朝起きたら喧嘩相手のおっさんがはにかむ様に微笑むのだけれど、これが非常に気持ち悪いし、気味が悪い。女性のいない軍隊での男色の暗示かと思ったり、この後にこのおっさんとの友情から来る葛藤や悲しみがあるのかと思いきや、そんな事一切無いし。喧嘩からの流れはいらんじゃん。

ジョン・ウェインって後年になると太って、雰囲気を作り出してはいるけれど変なカッコ付けに見えてしまうけれど、この映画ではまだ40代で痩せていて、渋さがあり、指揮官の役柄にぴったりだし、息子を心配する表情だったりがなかなか良い。

ジョン・ウェイン一家の家族問題を描いていたはずなのにゴニョゴニョとした感じで終わってしまうし、何時の間にかネイティブ・アメリカンを撃ち殺す為の西部劇になり、それもリオ・グランデの砦での戦いではないし、途中途中で甘ったるい歌を頻繁に挟み込み、流れや雰囲気がバラバラで、どれを描くにしても弱い。

☆★★★★

« | »

Trackback URL

Leave a Reply