捜索者

2012年11月28日 水曜日

ジョン・フォード監督、ジョン・ウェイン主演の1956年の西部劇「捜索者(The Searchers)」。

南北戦争が終わり、数年振りに兄弟の家に帰って来たジョン・ウェインだったが、すぐさま彼がいない間にネイティブ・アメリカンが襲撃し、家族を殺され、兄弟の子供はさらわれる。彼女達を救う為にジョン・ウェインと彼の兄弟の元で育った若者とで追い続ける。

何か劇的な展開や旅の道中での二人の微妙な心情の変化を描いている訳でも無く、単に連れ去られた少女達を探すだけの話が続くので退屈。見付けた少女は行き成り大人になっていて、実際別人が演じているので「誰?」でやっと会えた感動なんて起きないし。
ジョン・ウェインは常にイライラするだけで人物として深みも面白味も無く、主人公として全然魅力が無い。それに、始め罠に掛かり、家族が襲われるだろうと分かっておきながら彼等を救う為に必死になって戻る事も特に無かったのに、復讐の為と甥っ子を取り返す為なら何年でも執拗に追い続け、急な行動の不自然さ。それに折角見つけた甥っ子をネイティブ・アメリカンに育てられて彼等に加担しているからと撃ち殺そうとする、あっさりな程の諦め。この人物は何がしたいのだろうか。

この時代の西部劇の特徴でもある、荒野等の外の場面では実際に外で撮影しているけれど、時々外なのに人物に寄るとセットでの撮影だったりする急な不自然さがある。家周りは全てセット。室内はこちら側の壁が無い、シットコム的セット。外の景色の眺めがいい分、この急激な作り物感、偽物感の安っぽさが際立ち、しょっぱく映ってしまう。
岩の下に人が埋められ、岩を退けると思いっ切り息をして体が動くから何かのフリかと思ったら、それには一切触れずに死んでいる事になっている。撮り直しせえよ。
それに結構厳しく辛い状況の話なのに、音楽が快活で、それが結構頻繁に入り、特に場面転換でかかると今見ると演出的に非常にしょっぱい。

ジョン・ウェインの相棒が八分の一のネイティブ・アメリカンだから、「これはネイティブ・アメリカン達への理解へのフリだ。」と思っていたら、そこがどうのこうので理解に至るという事は無いし、ネイティブ・アメリカンは単なる無法者以上のモノは無いし、その割にネイティブ・アメリカンとの派手な決闘場面は無いし、展開は真っ直ぐ過ぎな上にだるいし、美しい景色と言うけれどあんまり荒野の美しさを理解出来ないし、演出的に時間経過も曖昧なままなのに一気に時間が進んでいたり、人物達が何が理由なのか分からない急激な心情の変化を見せ話と人物に付いて行けないし、どうにもつまらない映画。

☆★★★★

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