ステップフォード・ワイフ

2012年09月26日 水曜日

ニコール・キッドマン主演の映画「ステップフォード・ワイフ(The Stepford Wives)」。

仕事を首になったニコール・キッドマンが、旦那の提案でステップフォードという高級住宅街に引っ越すが、町の人々は出来過ぎた程に人の良い人達ばかりで異様な雰囲気を見せる。

これのおもしろい所は、アメリカ人男性、特に白人層の理想と言うか、典型的な成功例を分かり易く具現化している所。広過ぎる程の庭のある郊外の住宅地内の豪邸。妻は金髪でボインの白人女性のみ。そして常に夫に従順で文句をたれない。皆が同じな理想を持っているけれど、男性は薄ら禿ていたり、どうにも冴えない人ばかりで、だからな理想。
更に、リベラル層と保守層の考え方の違いと理想も見せている。始まりのニコール・キッドマンの作った番組からしてそうなのだけれど、リベラル層の働く女性にとっては男ってしょうも無く、女性は男性に縛られる事なく自由にする事が良いと考えているのが分かるけれど、保守層は伝統的な家庭生活が理想で、女性は家庭で夫の言う事を従順に聞く飾りや召使いの様な方が良いと、極端な考えを見せる。で、暴走して他人に自分の価値観を押し付けるのは何時も保守的な人間と、リベラル側が保守側を茶化すのもお馴染みの構図。その上、この映画では極端な男女の描かれ方で、女性は仕事も出来、賢く、美しいけれど、男性は単純で、馬鹿で、どうにも冴えないなんて極端な女性賛美。

その考え方の違いを非常に分かり易く見た目で見せているのは、皆の服装。町の人々は白を基調とした淡い華やかな色の田舎風、少し古めの型の服を着ているけれど、ニコール・キッドマンは黒を基調とし、如何にも都会のイケてる働く女性なシュッとした服を着ている。他にも町の雰囲気が変だと感じているベット・ミドラーも黒い服を着、服装でステップフォードに馴染んでいるかどうかを表現している。

ただ微妙なのは、ニコール・キッドマンがバリバリのキャリアウーマンだけれども家庭的でもあるというのを表に出す為に子供がいるのに、そこの子育ての部分は全くと言っていい程描かれない事。中盤以降子供が出て来なくなり、一切話に関わって来ないし。働く女性を描きたいなら別に子供いなくても良いのに、何で入れたのか不思議。
そして一番訳が分からないのは、見た目も駄目男っぽい冴えない男性陣が、何で綺麗で仕事も成功している女性と結婚出来ていたのかが不思議。結局、この町とは逆転している、妻の言う事聞く従順な夫だったからだからという事となのだろうか?この映画では全ての男性が常に間抜けでパッとしない。

ニコール・キッドマンは確かに綺麗。だけれど、ピンクの服に着替え、頭にピンクのリボンのカチューシャ付けても可愛らしさが全然無い。物凄い厳つい。綺麗なんだけれど、都会的な強さが物凄い出ていて、それが人物設定にはまり過ぎ。
ベット・ミドラーグレン・クローズ、そしてクリストファー・ウォーケンまで出て来て面子は非常に濃い。話を喰う位の画面の濃さ。

正直言って、SF的アイデアストーリーとしてはそれ程でもないけれど、アメリカの男女の社会的関係性と家庭内の関係性の男女の理想だけでなく、保守的かリベラル的かをもフェミニズム的に見せる事の方がおもしろかった。そこもコメディの一要素にしているのだけれど、本来の笑わせるコメディしてはファンタジー過ぎて、あんまりおもしろいモノでもない。

☆☆☆★★

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