ノーバディーズ・フール

2012年09月25日 火曜日

ポール・ニューマン主演の1994年の映画「ノーバディーズ・フール(Nobody’s Fool)」。

人間関係も、仕事も、人生もどうも上手く行かないおじいちゃんの日常を、そのポール・ニューマンを中心に、彼の周囲の人々との関係を描く。

普通な人の普通な日常を、特に感動を呼び起こす訳でもなく、流れる感じで描き続ける。この特に何か無い様子を描く事によって、多くを語らず描くというのは良いのだけれど、それから特に何か感じる事も無かった。どうにも整ってない風で、普通な、何でもない出来事を自然に流そうとするけれど、実は見せようとする必死さが見え、何だか乗り切れない。各人物との話が全然頭に入って来ず、流れて出て行く。
やっぱり違和感を感じるのはポール・ニューマン。確かに演技は普通なおじいさんで、動きや視線、表情は自然さが溢れ、抜群に上手い。なんだけれど、ポール・ニューマンが歳を取ってもカッコ良過ぎ、上品過ぎで、どうにも田舎町の付き合い辛いじいさんには見えない。田舎の労働者の普段着の格好はしているけれど、背広着れば英国紳士。

この映画の不思議な所は、1994年の映画なのに画面比が1.33:1のスタンダード・サイズな事。別にTV映画という訳でも無く、さっぱり意図は見えない。

ブルース・ウィリスはまだ髪の毛がそれなりにフサフサしている前期。無駄にアクション場面があるのが彼らしい。

この映画、何処に身を置くかで評価は変わるはず。歳を取ったポール・ニューマンか、彼の息子か、ポール・ニューマンを見守る周囲の知人か。結局何処にも身を置かず、何処かの日常の風景を眺めるだけだと、「ふ~ん…。」で別に盛り上がりも、感動も起こらず、流れていってしまうだけだった。ポール・ニューマンの存在と演技、豪華な俳優陣で見せるけれど、そこがなければ全く持って持たない話。

☆☆★★★

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