闇よ落ちるなかれ – L・スプレイグ・ディ・キャンプ
2007年11月24日 土曜日アジモフの「宇宙の小石」を読み終え、次は何をかと思いサッと手に取ったのが、L・スプレイグ・ディ・キャンプの「闇よ落ちるなかれ(LEST DARKNESS FALL)」。
あらすじを見ると「考古学者が西暦535年の古代ローマにタイムスリップ」と言う、「宇宙の小石」と反対の時間移動モノだったのでこれを読む。
SFと言うよりは、未来の知識や技術を持った人間は歴史をどう変えるという歴史もしもモノ、歴史冒険奇譚。
そこが本筋なのだが、この話の面白さは次から次へと起こる問題に主人公がすかしたり脅したり、交渉で乗り切っていく姿が、おもしろさを持って楽しく描かれている所。
主人公が考古学者でラテン語をある程度喋る事が出来るのは何とかわかるが、他の技術に関してやたらと超人的なのが上手く行き過ぎ感はあるが、金の両替から始まり商売、宗教、政治、戦争と、様々な問題が矢継ぎ早に襲い、それを気持ち良く解決していく様が非常に読んでいて爽快だった。
一気に読み進めた久しぶりの話だった。
に、してもこの話は書かれた当時、1940年頃の現代人だから出来たのかも。
60年以上未来の、身の回りの物があまりにブラックボックス化された現在では、物を発想出来ても、作るための知識さえ持ち合わせていないのだから。
しかし、この「ローマ帝国崩壊後」のイタリア付近の歴史や地名、風俗はあまり興味も無いし、良くも知らないのでどうも画が思い浮かんで来なかった。
いちおうは主人公が歴史はある程度説明してくれ分かるのだが、衣装や建物などは中世ユーロップの物を浮かべてしまって、人々が変だった。
一つの希望としては、この歴史改変後の歴史を見てみたいのはあった。
何しろ、「闇よ落ちるなかれ」とこの後千年程の人々を否定しているのだから。