宇宙の小石 – アイザック・アシモフ

2007年11月10日 土曜日

母なる地球」を読んだ時に、「われとともに老いよ(grow old with me)」の顛末での、ぶち切れるアジモフ、度々謝る編集者、時代の流れで単行本化と、波乱を起こすこの中篇が非常に面白かったので、その結局の長編出版版のアイザック・アジモフ「宇宙の小石(pebble in the sky)」を読んだ。

しかし、これがどうもいまいちだった。
何故かと言うと、一番の話の核になるシュヴァルツの存在が、読み終わると「過去から来た地球人」である事の必要性が余り感じられなかったから。
どうもその事によって物事が大きく変わる事も無し、初めにつかむためだけの設定の様な感じがあった。
さらに、中盤でいきなり超能力まで身につけ一気に気がそれた。
この超能力も話の重要な設定ではなく、話を上手くまとめるための万能小道具でしかないのでガックリ。
他の部分は当時の世界情勢や、アジモフ自身の状況も見えるようでなかなかおもしろいのだが、話の主設定の意義が見えてこなかったので、中盤までで盛り上がりが終わってしまった。

それともう一つ。
翻訳の違和感。
この話に出てくる人は大抵老年前後の人々なのだが、自分の事を結構「ぼく」と言ったり、「~なの?」と子供の様に尋ねるので人物が見えて来ない。
違和感。

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