その男ヴァン・ダム
2011年09月04日 日曜日ジャン=クロード・ヴァン・ダムと言えば1990年代を代表するアクションムービースター、日本だと引田天功、プロレスならロブ・ヴァン・ダム。しかし最近では大きく取り上げられる事も無かったが、2009年に「ユニバーサル・ソルジャー:リジェネレーション」でドルフ・ラングレンと共演して「うお~!」と思ったが、公開時には話題になり見てみたかった「その男ヴァン・ダム(JCVD)」を見た。
ジャン=クロード・ヴァン・ダム本人がジャン=クロード・ヴァン・ダム本人を演じ、そのセルフ・パロディ的映画の様相でコメディの様に扱われているけれど、これは泣ける映画。特に90年代にヴァン・ダムのアクション映画を見て来た者にとっては尚更。
落ちぶれてしまったヴァン・ダムの哀愁とそれでも周りはスターとしての対応、ヴァン・ダム自身の思いが彼の映画を見て来た人の心に刃を突き刺す様に責める。どこまでが映画で、これはドキュメンタリーなのかとも思わせるヴァン・ダムの内面に光を当てている。特に途中の一人語りの場面はそうで、メタフィクション、メタ映画になり、映画の鑑賞者にさえ映画スターの見方を変えさせる様に迫る。
途中、「ジョン・ウーは恩知らず」とか、「スティーブン・セガールに役を取られた」とかヴァン・ダム好きへの笑わせる部分もあるけれど、本質的にはジャン=クロード・ヴァン・ダムに対する憧れや興奮といった想いが溢れている。監督・脚本をしているマブルク・エル・メクリのジャン=クロード・ヴァン・ダムへの熱い心が結果として、素晴らしい映画へと作り上げている。
この映画は映画自体をコメディやサスペンスと見るのではなく、ジャン=クロード・ヴァン・ダムを見る映画として見ると非常に良い映画。ジャン=クロード・ヴァン・ダムだからこそ出来た映画。凄いのはこれに出たジャン=クロード・ヴァン・ダムかもしれない。
ジャン=クロード・ヴァン・ダムを良く知らない人にとってはそれ程でも無いのだろうが、ジャン=クロード・ヴァン・ダムのこれまでの映画で一度でも興奮した人にとっては、この上ない興奮と哀しみ、笑いが交差した素晴らしい映画だと思う。
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