阿羅漢
2024年08月02日 金曜日ラウ・カーリョン監督、リー・リンチェイ主演の1986年の香港映画「阿羅漢(南北少林)」
少林寺シリーズ三作目。
北少林寺で修行を積む智北は親を殺した赫索総督の誕生日会が開かれ事を知り紫禁城に潜入。
そこには同じく親を殺され復讐の為に赫索を暗殺しようとする司馬燕と南少林寺で修行する智南も集まっていた。
司馬燕の暗殺は失敗し、三人は協力して赫索の追手から逃げる事となった。
Amazon プライムビデオでジミー・ウォングの映画の配信が終わりそうだったので見て、そこから古い香港映画を色々と見始め、まだリー・リンチェイ時代のジェット・リーの映画が見たくなって、だったら初期からという事で初出演映画「少林寺」「少林寺2」と見たのでシリーズ三作目。
シリーズではあるけれど話は全然繋がりは無く、一作目は父を殺されて少林寺に入って修行して仇への復讐話。
二作目は男兄弟ばかりの主人公一家と川の対岸に住む女姉妹ばかりの一家のほのぼのコメディに盗賊団が絡んで来ると言う全然少林寺関係無い話で、三作目は少林寺と復讐話の一作目回帰的な話になっている。
一作目的ではあるけれど一作目は結構しっかりと主人公の成長譚復讐譚を描き、脇役達の事も立てて見せて王道ではあるけれど中々おもしろい物語を描いていたのに、この映画はそこら辺は結構すっ飛ばして描かず、主人公以外の人物は薄いし、敵と戦う主人公の動機も言っているだけなので弱く、話はほぼ主人公の三角関係だけで成り立っていて、細かい話はぶん投げてしまっているので話しは大しておもしろくなかった。
その分アクションは多目で、万里の長城での戦いや船を筏でせきとめる場面でのアクションは見栄えが良くておもしろいものの主人公側も敵側も人物描写が薄いのでいまいち乗って行けず。
演じている役者陣はシリーズお馴染みの人達で、そこは楽しめる所。
智南役の胡堅強は一作目は僧の一人から、二作目では次男?になり、三作目では準主役と育って行っていた。
ただその後胡堅強は余り俳優の方ではなく武術の方に行って中国武術の指導者になったそう。
一方、孫建魁は一作目では酔拳を使い哀しい過去もありの役が立っていて、二作目では敵役で陰謀を企てるこれまた個性の強い役だったのに、今回は本当に脇役で最後になってアクションを少し見せるだけで凄く役が落ちてしまっていたのはどうしてだったのだろう?
司馬燕役の黄秋燕は「少林寺2」からの出演だけれど、今回もヒロインで二作目よりもアクション多目。
黄秋燕はリー・リンチェイの幼馴染で二人は1987年に結婚し、1990年に離婚したそう。
毎回主人公の父親的な役の于海は今回は始めの方は主人公との関係が描かれていたけれど後半は全然で、最後に蟷螂拳の見せ場があって良かった位。
赫索総督役の于承惠もお馴染みで、一作目は敵の首領で、二作目は向こう岸の一家の長で疑い深いけれど良い人から敵の首領に復帰。
やっぱり悪のボスは似合うし、剣術がカッコ良い。
この映画、「少林寺2」がお子様映画になってしまった反省からなのか一作目の方向に戻したのは良かったけれど、人物や話の描きが薄いのでアクションにもいまいち身が入って行かず、あんまりおもしろくはなかった。
邦題の「阿羅漢」はいまいちピンと来ないし、原題の「南北少林」も結局南北の違いや分かれてしまった現状や融和とかも薄いので何だかなぁな感じ。