少林寺2

2015年11月19日 木曜日

張鑫炎監督、リー・リンチェイ主演の1984年の映画「少林寺2(少林小子)」。

武術家の武当派の鮑家と少林派の天龍家は何かと競い合う様な関係だったが、天龍家は子供は息子だけ八人おり、鮑家の九人の子供は皆女の子だけだった。
両家の子供達は喧嘩をしながらも年長者達同士で結婚もしたいと考えていたが、貧乏な天龍家は鮑家に結婚を認められず、しかもかつて天龍家にやられた盗賊団が鮑家に取り入り、天龍家に復讐を果たそうとしていた。

邦題では勝手に「少林寺2」とはなっているけれど、前作とは全く関係無い話だし、そもそも少林寺とも関係無い話。
「少林寺2」なんて邦題にしてしまえば、「少林寺」の様なおふざけもありつつも真面目な少年の成長譚と超人的な動きの戦いを期待するのに、この映画では対立する両家の子供達はまだ子供なので張り合うばかりだけれど年長者は好き同士で弟達がそれを引っ付けようとするという、小学生・中学生の様な男女間の話で、完全に子供向け。確かに原題の「少林小子」が当たり前に正解。
リー・リンチェイのキレッキレの功夫が見たいのであって、子供の功夫とか、お子様向け話なんてどうでもよく、ずっとそんなどうでもいい展開が続き物凄く退屈するばかり。子供も年長者同士の恋愛話は結構おもしろいのに、子供達のどうでもいいワチャワチャした部分は非常に退屈。
両家の子供は二人程度で盗賊団を絡めた話にすれば、恋愛と家と哀しい過去で十分大人向けの功夫映画になったのにと思う。この映画見ていても、リー・リンチェイと歳の近い叔父の二人の恋愛話で十分だし、義理の親子関係も何だか描きが足りないし、やたらと時間をかけ、やたらと回りくどい方法で復讐を果たそうとする盗賊団は何だかよく分からない行動だし、子供が多い事で余計な話が多くなっているし、もっと描けばいい部分がお座なりになっているしで、話は非常に散漫でどうでもいい感で一杯。

終始ほのぼのとした雰囲気で、激しい功夫場面も少ないまま進んでいたのに、最後に盗賊団との結構陰惨な戦いをまとめて入れているのも不均等。それまで戦いがほとんどなかった分を考慮してか、10分間以上延々と戦いが続くというのはこれまでの雰囲気とも違っていたし、最後にとにかく派手な場面を入れ込んだ感じしかしない。

「少林寺2」としているだけに「少林寺」に出演していた人達も登場しているけれど全然役が違う事が物凄い不思議で変な感じがする。特に武当派の父親鮑を演じている于承恵は「少林寺」でリー・リンチェイの父親を殺した将軍で一番の敵役だったので、女の子達の父親役というのは違和感だし、何より悪役顔過ぎるし。「少林寺」で一緒に修行していた酒飲みの仲間だった藤井隆似の孫建魁が悪役ってのも変な感じ。

リー・リンチェイのアクションは流石に良いけれど、それも最後にだけで少なくて、功夫映画やアクション映画として見ると大分不満足感ばかりになる。
リー・リンチェイよりも相手役の三女のホァン・チューイェンの方が見せ場が多かった様に思えたし、何より勝気な女の子役が物凄く魅力的だった。

この映画、「少林寺2」だし、リー・リンチェイ主演だから「少林寺」的なモノやリー・リンチェイの功夫を期待して見るけれど、そこは酷くつまらない。「少林寺2」だし、リー・リンチェイ主演だから、絶対そこを期待するのに、内容は子供向けの話なのでスカしっぷりばかりを感じてしまった。

☆☆★★★
 
 
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