雷神 RAIJIN

2013年12月11日 水曜日

ジェフ・キング監督、スティーヴン・セガール製作・脚本・主演の2008年のビデオ映画「雷神 RAIJIN(Kill Switch)」。

凄腕だけれど、非常に暴力的な刑事スティーヴン・セガールが爆弾魔を逮捕する。そして、彼が今まで抱えていた謎の暗号を被害者の遺体に残す連続殺人犯を追い詰めて行く。

何時ものスティーヴン・セガール映画。
スティーヴン・セガールはブクブクと太った体を隠すかの様な、黒い長い革のコートにジーパンという何時もの衣装。極力自分の仕事量を減らして映画を作る事を覚えてしまったスティーヴン・セガールは、アクション場面は明らかに別人の吹き替えばかりを使うので、吹き替えが分からない様に戦う場面は後姿か顔から下しか映さず、編集で細かく繋ぎ、その短い隙間に別撮りのスティーヴン・セガールの正面の表情を挟み込む、毎度の省エネスティーヴン・セガールアクション。今回…、いや毎度酷いのは、スティーヴン・セガールが動いていない事を隠す為の吹き替えの別人だという事を隠す為に、今の攻撃はどうなったのか?とか、何がどうなって相手が倒れたのか?とかが分かり難過ぎる早い編集、短い編集をやり過ぎ。あと、スティーヴン・セガールがアクションをしていないので、映像的には戦っている相手の反応ばかりを見せざるを得ず、相手が「ウギャー!」となっている場面ばかり。しかも、アクション場面を水増しする為に、何度も同じ事を繰り返す。普通は二、三発殴ったら別の行動に切り替えるのに、三、四発、五、六発と同じ一方的な殴りを見せてしまう。途中途中に入るスティーヴン・セガールの短い表情もやたらと同じコマを使い回し、酷い時は数秒間の内に同じコマを使い回したり、同じカットをただ反転させたモノを数秒後に使い回したりと、編集のやり過ぎもスティーヴン・セガールの手抜きも行き過ぎると酷い事になる。

話もスティーヴン・セガールが脚本を書いているから物凄い駄目駄目。始まりの爆弾魔は、途中全然出て来なかったのでスティーヴン・セガールの紹介と映画の掴みの為の一幕かと思っていたら、その犯人が大取りになってしまう。中盤の物語の主軸になっていた暗号を残す連続殺人犯は、その暗号を何で残したとか、スティーヴン・セガールがどうやって解いたとかの説明も無く、スティーヴン・セガールに罪を着せようとしていたのに特に何かに発展する訳でもなく、あっさり解決してしまったとか酷い脚本で、最後も色々引っ張った割にスティーヴン・セガールがボコボコにしただけで特に何も無く終わったりと、もうほとんどいらない事ばかり。どう考えても、もう一方の爆弾魔との因縁で話を展開するべきじゃないの?しかもこの爆弾魔、爆弾を使うのは初めの一回だけで、後は切り裂き魔になってしまい物凄くブレた人物。始めにあれだけスティーヴン・セガールにボコボコにされたのに、幾らでも罠や武器はあっただろうに、最後にナイフ一本だけでスティーヴン・セガールに向かって行くという全く学習もしない頭の悪さを見せつけ、何より脚本を書いたスティーヴン・セガールのぶっ飛びっぷりが見れてしまう。
そして、最後の意味不明な一幕は何なのだろう?事件の最後から時間が長く経っている様には見えないので、家族を捨てて刑事をしていたって事?それとも、その後家庭を持ったという事?何故、ロシア人?何でめでたし、めでたしをしょうもないエロに持って行くの?など、もうスティーヴン・セガールが何をしたいのか意味不明な脚本が最後まで続く。

この映画、スティーヴン・セガールの手抜きによる濡れ手に粟商法がこれでもかと出た映画。自分はアクションしない。節制出来ておらずブクブクなのでアクション出来ない。アクションの吹き替えを誤魔化す為に酷い仕上がりになってしまった編集。推敲せず、適当に仕上げてしまったのでグダグダ過ぎる脚本。これでもアメリカと日本でそれなりに売れれば儲けもんという姿勢が見え透いてしまう。

★★★★★

« | »

Trackback URL

Leave a Reply