沈黙の奪還

2013年12月03日 火曜日

スティーヴン・セガールが主演してればとにかく「沈黙シリーズ」。これも何ら繋がりは無いけれど「沈黙」を付けるしかない2006年の映画「沈黙の奪還(SHADOW MAN)」。

政府の生物兵器の揉め事に巻き込まれ、それに関係して娘が誘拐されたので、奪還しようとルーマニアをうろつくお話。

と、基本線は分かるのだけれど、それ以外の今何が理由で、何をしているのかはさっぱり分からない。セガールが情報を持っていると勘違いしたアメリカ政府やロシア、地元警察等が出て来るけれど、誰が誰で何をしているのかも良く分からない。セガール自体が相手が何者か分かってないけれど、とにかく殺しまくり、それが何の為の襲撃と対応なのかも分からない。特に分からないのは、途中麻薬の売人の所に行くけれど何か情報聞き出す訳でもなく、売人を殺しまくって彼らの金を奪うだけ。別にセガールが薬中でもないし、その金を何かで使うという様な場面も無いし。最も酷いのはヘリコプターの襲撃場面で、屋敷からセガールと女性が出て来るのだけれど、遠目からしても明らかにセガール本人ではない人が出て来て、しかも自動車に乗り込む場面では足元だけ映して顔は一切映さないし、乗り込んだ自動車の中には二人なはずなのに、後部座席にもう一人誰かが乗っているのが見え、これは替え玉とか何か?と思っていたら普通にセガール出て来て銃撃って終わるし、全く意味が分からない事だらけ。捜索しに来たヘリが行き成り銃撃を始めて、単に派手な場面を作る為だけの場面だし、しかもこの場面にほとんどセガールが出て来ないのは、彼がゴネたのか、撮影日程の関係か、セガール無しでの撮影を誤魔化す為だけの事だったのかと愕然。このセガールの動かないのは始まりからも、行き成りスティーヴン・セガールの武術指導で、これが何かの伏線と思いきや、単にアクション場面で歳取って、太ったセガールがあんまり動かない、動けない事の説明。もしくはセガールが気功に興味持ったから入れましたな場面。彼の初期の映画ならば「おお!」となったけれど、今では「…。」でしょっぱさが際立つだけ。
終盤のどんでん返しも「??」。生物兵器の決着も「??」。脚本にスティーヴン・セガールが入っているからか、彼だけが理解出来る「??」な展開ばかりで、前後関係の理解不能。
演出も、この手のB級映画では最近勘違いが多いけれど、とにかくカメラを手持ちでブラしておけば緊迫感が出ると思い終始ブレまくりで、特にカーチェイスやアクション場面等、ブレまくりの映像を早いカットで繋ぐもんだからただ見難い。何をしているのか、何が行われているのか、さっぱり分からない。

スティーヴン・セガールはかつての様な輝きが無く、年取って、太って、目が小っちゃい小っちゃいおっさん。どっしりと構えていると言えば聞こえは良いけれど、省エナジー演技で動きは少なく、面倒臭いけれど小金を稼いでる感一杯。
唯一のくすぐりは、本当は存在しない「沈黙シリーズ」で見た事ある様な、似た様な黒い革のジャケットにジーパンと言う格好をしている事位。

終始、「??」な展開を説明する事も無い支離滅裂な脚本と、それを加速させる構成と編集のただ順番に繋いでいる酷さのみ。元々真剣に見ていないので、「何のこっちゃ?」なので何回も見てみるけれど、やっぱり「何のこっちゃ?」。「話や追ったり、展開を考えては駄目だ!スティーヴン・セガールだけを見とけ!」な映画。

★★★★★

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