ナバロンの要塞

2013年06月28日 金曜日

J・リー・トンプソン監督、グレゴリー・ペック主演の1961年の映画「ナバロンの要塞(The Guns of Navarone)」。アリステア・マクリーンの小説「ナヴァロンの要塞」が原作。

第二次世界大戦中の1943年。ドイツはトルコを自分達の側へと入れる作戦の一環として、ギリシャのケロス島のイギリス軍を孤立させる。イギリス軍は救出したいのだが、ナバロン島に設置されている巨大な二門の要塞砲に阻まれ、船を出せずいた。その砲を破壊する為にグレゴリー・ペック率いる部隊が隠密行動で島に潜入する事になる。

設定としてはおもしろくなるはずなのに、破壊しに行く為の計画、その行程、破壊と非常に真っ直ぐに話が進み、緩慢としたまま終わってしまう。一応途中途中に問題は起こるけれど、どれも取って付けた様な話ばかりで、それが何かの伏線になっていて劇的な展開を見せるかと言えばそうでもなく、どれもがブツ切り感があり間延びするだけ。始めの計画を立ち聞きされていた話とか、長めの他人の結婚式とか、それが何処かに繋がる訳でも無い何の為の場面なのか分からない部分が多い。この映画2時間40分近くもあるので、バラバラな一つ一つの出来事は時間を水増しして大作感を出す為の小細工に思えてしまう。その為にサスペンス映画としては緩慢過ぎて、ドキドキ感なんて無い。
それに、敵が大勢いる中を正体をバレずに密かに行動しているのだから、何か問題とぶつかった時には知力や交渉でこっそり解決してこっそり前に進むのかと思いきや、敵に出会えば敵を殴ってしまい、有無を言わせず突然撃ち殺してしまって解決とか、解決策が乱暴な上、面白味なんて無い。それまでは仲間は誰も戦闘場面では死ななかったのに、最後になると突然攻撃が雑になって、思った通りにバタバタと死んで行くのも雑過ぎる。
そして60年代のアメリカ映画ではよく見られる、日本の映画やドラマでも最近まであった、昼間の撮影なんだけれど光量を絞って画面を暗くして夜に見せる、疑似夜が多いのも白ける所。夜間に忍んで行動する場面が多いにも関わらず、この撮影方法ばかりで、流石に空は青空で雲が浮かび、地面や建物にクッキリと影が落ちるなんて、画面上の夜と言う記号の嘘臭さの強さには閉口してしまう。
セットもこの当時の安っぽい感じの割に、何故かドイツ軍側は兵士を大量に動員し、戦車や車両等も多く登場させており、変な所に力を入れている。

この映画、延々と計画の説明で始まり、その後はそれを実行するだけで終わってしまい、間延びしまくりの話を三時間近くも見せられたのは疲れた。題材は良いのに、その見せ方が不味過ぎた。

☆★★★★

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