エル・ドラド

2012年11月25日 日曜日

ジョン・ウェイン主演の1966年の西部劇映画「エル・ドラド(El Dorado)」。

エル・ドラドという土地を巡る牧場主と無法者達のいさかいに、友人である町の保安官に協力する事によって巻き込まれて行くジョン・ウェインとジェームズ・カーン

何だか非常に微妙な話。始まりはジョン・ウェインが良い人という部分を見せ、保安官と雇い主の話を蹴る等本筋のネタ振りなんだけれど、それを置いておいて、いきなり時間は経過し別の町での話に。そこで若いジェームズ・カーンを助け、彼に銃を教え師弟関係みたいになると思いきや、ジェームズ・カーンの銃が下手だという事をたった一発撃ったのを見て諦め、誰でも当たる様な銃身の短い散弾銃を持たせ、この師弟関係はこれで終り。以後は無法者達との普通な銃撃戦で、話の展開的にはおもしろくない。
早い段階で、現在の町の状況やジョン・ウェインと保安官の関係を、新しく出て来た登場人物が台詞でご丁寧に説明する時点で駄目な匂いは漂って来ていたけれど、息子を殺された牧場主家族との因縁も何時の間にか融和したのかしてないのかで終わるし、こちら側は誰も死者を出さず、相手側は皆殺しでめでたしめでたしで粗い話だし。

おもしろいのは味方側の人物達。女性に騙されて未だに飲んだくれなどうしようもない保安官。やたらと銃の腕が凄く、弓まで上手で、何でも出来るし、何でも率先してするおじいちゃん。何でか知らないけれどノリノリンなジェームズ・カーンと、非常に立った人物ばかり。なのに、ジョン・ウェインが全然良くない。カッコ付けて女性にもモテる男という設定ではあるものの、見た目は小太りで全然カッコ良くはないおじいちゃん。この時点で59歳、見た目は60代半ばでこんな役って、配役としてどうなの?演技も大して上手くなく、一番見せなくちゃいけない突然の苦痛で倒れる場面では、その大根っぷりに笑ってしまった。他の人はそれなりに普通の演技なのに、ジョン・ウェインだけ時代劇の大御所俳優的な、大袈裟なのに動きが少なく緩やか、カッコ付けていて昔はそれで画になっていたかもしれないけれど、歳取ってもそんな演技してもカッコ良くなく、ジョン・ウェインがこの映画の足を引っ張っている感じ。役的にも、敵はプロの流儀と言って卑怯な手は使わず待ってくれるのに、その敵をジョン・ウェインは待ちもせず撃ち殺す卑怯な奴だし。

そういえばこの中で、ジョン・ウェインが相手に背中を見せない為に馬を前に向かせたまま、そのまま後ろに歩かせる場面があったけれど、こんな風に後ろに進ませる場面ってこの映画で初めて見たかもしれない。

セットもカメラ側の一面が無いシットコムの様なセットだし、そのセットも結構安い感じで、話も捻った感じもなく、何だか安く作ったアンパイ狙いの映画っぽい。ジョン・ウェイン主演という事でお客を取ろうとしているけれど、そのジョン・ウェインが良くなく、折角入れ込んだ話や設定も上手く活きているとは言えず、いまいち感は拭えない。周りの人物達が良い分、ジョン・ウェインじゃあなければもっと活き活きとした映画になったはずと思わせてしまう。

☆☆★★★

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