弾丸を噛め
2012年11月24日 土曜日ジーン・ハックマン、ジェームズ・コバーン共演の1975年の西部劇「弾丸を噛め(Bite the bullet)」。
西部横断レースに参加する者達を描いた、一風変わった西部劇。
全編微妙。レースが始まるまでまったり過ぎる程薄く人物紹介をしながら話は流れ、しかしそれぞれが何か重いモノも抱えている様子は描かれず、何故彼らがレースに挑むかの動機が全然見えて来ないのでレースまでが全然盛り上がらない。そもそも何でこんなレースを開催して、大規模な大会風なのに参加者が十人もいないのか、何故彼等なのかも良く分からない。しかも、そのレースは何時始まったのか分からないままダラッと始まり、一番盛り上がる開始の場面をすっ飛ばす。レースが始まっても、やっぱり特に盛り上がりを見せないままダラダラと荒野を走り続けるだけ。こういうレースモノなら競技者同士がひっそりと罠や策略を仕掛け相手を蹴落とすというワクワクな展開を期待するけれど、この映画では皆仲良く助け合い、馬での旅行気分なほんわかさ。皆で固まって行動しているので、「これって競争じゃあなかったの?」と小首を傾げながら見ていた。
過酷極まる荒野の長距離なはずなのに、やたらと「道順はこっち」という標識が打たれているし、止まる所は毎晩きっりちあり、野宿はほとんど無いし、非常に温さばかりが目立つ。
つい今まで元気そうに喋っていたベン・ジョンソンが振り返った瞬間に、喋っていた態勢のまま死んでいたのには笑ってしまった。
登場人物達は結構濃い面々なのに、展開が退屈して見飽きて来る。レースなはずなのに、ほとんど皆での馬旅行だし。レースが始まってから、よりおもしろくなくなって行くのは致命的。「弾丸を噛め」という題名、馬での横断レースなのに全編のっぺりし過ぎで、レースというおもしろくなる題材を扱っている割に非常に怠い映画。レースを見せるにしても、群像劇として見せるにしても、非常に薄い。
☆★★★★