悪名

2012年10月15日 月曜日

今東光の小説を原作とした、勝新太郎、田宮二郎、中村玉緒共演の1961年の映画「悪名」。

中河内のごんたくれ朝吉がやくざになり、弟分の貞と女性に惚れての揉め事を何とかしようとする。

話は非常にしょうもない。朝吉が女性と遊びまくり、博打を打ち、揉め事は暴力で解決するだけ。女性に惚れての問題を起こし、敵と対峙するけれど大きな殴り合いにならずスカすし、殺し合いにもならないし、ヤクザモノとしては非常にヌルい。
基本的に男性陣は皆アホで、直ぐ喧嘩を吹っかけ、諭されれば直ぐ収まるという頭の悪さ。アホがアホな行動しかしないけれど、それが笑える様な面白さも無く、退屈して来る。結局駄目なチンピラの恋愛劇。
ちんぴら同士が恥かかされたから喧嘩して負けたら「兄貴!」とか、今見るとどうしようもないなぁ。

やっぱり気になるのは、皆の河内弁。こんな河内弁、今だと若者はまず使わないし、今でも50過ぎの今だチンピラなおっさんでも使うか使わない位で、昭和初期を感じる、最早時代劇口調。しかし、これが結構おもしろい。この河内弁がやくざ世界の雰囲気を盛り上げる。ただ、役者陣は河内弁を頑張っているけれど、結構外れる事があり、そこが微妙で気持ち悪い。そんな中でも勝新太郎は東京の人だけれど河内弁は上手いし、田宮二郎は元々大阪の人なので上手い。

勝新太郎は二枚目俳優から抜け出す、勝新の濃く、強い個性を前面に出した役と演技で、こういった役がやっぱりしっくり来る。実際の豪快に遊ぶ勝新をも見ている様な気になって来る。
田宮二郎は歳行ってからしか知らないけれど、結構シュッとした男前で、役者陣の中でも頭一つ大きく、目立っている。
男性陣は非常に濃く、渋めでカッコ良いけれど、女優陣は全然良くない。誰も綺麗じゃない。中村玉緒も出ているけれど、皆ぽっちゃりし、田舎臭い女性ばかり。

劇中で中村玉緒が勝新太郎に「あなたを一生の妻とします」と書いてと要求し書かす場面があるけれど、実際にこの映画で本当に二人が結婚し、勝新が浮気とかするけれど結局はこの一筆通りになった事に、感動にも似た驚きがある。

ヤクザモノとしても、映画としても大しておもしろくないけれど、勝新太郎と田宮二郎の強烈な個性で、これ以降16作も作られる人気シリーズになったのかなと思える映画。

☆☆★★★

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