メイド・イン・マンハッタン

2012年09月03日 月曜日

ジェニファー・ロペス主演の映画「メイド・イン・マンハッタン(Maid in Manhattan)」。

てっきり、下町でたくましく生きる人々の話「Made in Manhattan」かと思いきや「Maid in Manhattan」で、題名そのままのマンハッタンのホテルのメイドの話。バツイチ、子持ちの出来るメイド、ジェニファー・ロペスが宿泊客の政治家と恋に落ちる。

始まりは、一流ホテルの裏側と働く人々を見せるコメディで結構楽しいのに、恋愛話が始まるとその部分は至って普通な展開になり、あんまりおもしろくない。ホテルを巡る人々の人生模様のコメディを見せるなら楽しめるけれど、これも結局は恋愛映画のベタ過ぎる「男前・金持ち・社会的地位がある良過ぎる男性と、何でか彼に惚れられる普通な女性」という普通な設定で、お互いの事をはっきり知らないまま出会い恋に落ち、それが原因で悩んで離れるけれど上手く行く…と、まあこれまであった恋愛映画と大して変わり映えしない展開。

これの見る所は、やっぱりアメリカの社会的身分差。ジェニファー・ロペスはヒスパニック系で、メイド達は黒人が多い。マネージャー陣は白人で、金持ちの宿泊客も白人。一番はレイフ・ファインズは共和党の大統領候補なのに、恋する相手はホテルの使用人。彼は共和党の政治家なのに物凄く民主党的でリベラルな考え方っぽいのは、単に政治家として生きる事を余り望んでいない良いとこの坊ちゃんだからという位の理由か。本来ならバッチバチに政治的信条で本人達も対立し、周囲の人からも色々言われる所なのに、そこら辺は非常にサラッと。そこを描きはするけれどあんまり触れないのは、これも監督ウェイン・ワンが香港生まれの人だからか。折角の設定も活かし切れていない感じは強く、もっと突っ込んでも良いと思えるけれど。

気になったのはレイフ・ファインズの参謀の名前がジェリー・シーゲル。Jerry Siegelと言えば「スーパーマン」の生みの親のライター。何でこの名前?

この映画、恋愛が主題でなければ、ホテルの宿泊客の偏屈な人々の生活模様と、プロだけれど普通な優しい明るく働く人々に、社会的身分や政治的信条等も入れた話でおもしろいのに、恋愛が主軸になると普通過ぎる展開しか見せず、恋愛映画にしたもったないさが悔やまれる。
で、この映画って保守層とリベラル層のどっちに受けたのだろうか?どっちにも良い顔して、どっちも掴み損ねている感じはするけれど。

☆☆☆★★

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