ガン・ファイター

2012年06月14日 木曜日

ロック・ハドソンカーク・ダグラス共演の西部劇「ガン・ファイター(The Last Sunset)」。

かつての恋人を追って来たお尋ね者と、その彼を追って来た保安官が、牧場主の一家と共に牛を売りに行く。
引けない男の意地や友情の話にとなると、殺伐としそうな感じだけれど、カーク・ダグラスの詩人っぷりと、若い娘がいる事で、結構ほんわかなロードムービーを見せる。それに後家さんとなったドロシー・マローンがもてまくったり、意中の女性に振り向いてもらえないけれど若い子にはもてるおっさんだったり、年上の何でも出来て甘い大人に憧れる少女とか、誰もが気持ち良いメロドラマでもあるし、むしろその恋愛劇が中心となっている。ほぼ登場人物四人の愛憎劇で、ドンパチは添え物。
全編その登場人物達の好き嫌いを描いているのだけど、不思議なのは、夫、父親を亡くした妻と娘は特に悲しむ事も無く、今までと同じ様に過ごしている。別に家族間の中に不仲とかは描かれてもいないのに、彼がまるで初めからいなかった様な扱いで、残された二人の葛藤や感情の無さが怖い。それが後に何か関係して来るのかと思ったら、単にそこだけが省かれているだけだった。家族の死と、その後の何にも無さは一体何なのだろう?

カーク・ダグラスは、魔女の様に鼻は尖り、顎は割れ、薄い眉毛と強面だけれど、詩を歌い、ロマンティストな陽気な人で、笑うと非常に人懐っこく、しかし真面目な顔は恐ろしい迫力。物語的にカーク・ダグラスが主人公だけれど、それ以上に存在感と演技は圧倒する。

喧嘩は殴り合いよりも取っ組み合いで、ボディ、ボディの連続で、その地味さににんまり。

この邦題は全然良くない。見終わっても「ガン・ファイター」だと何のこっちゃ?な、酷い邦題。「The Last Sunset」だから、泣ける題名。

西部劇だけれど、お尋ね者、保安官、ガンマンといった設定を使ったメロドラマという、一風変わった西部劇。分かっちゃいるけれど、見終わった後の物悲しさは良い。

☆☆☆★★

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