蒲田行進曲

2012年05月10日 木曜日

つかこうへいの劇作品を深作欣二が映画化した「蒲田行進曲」。

これはコメディ映画じゃなくて、映画コント。みんな演技がわざとらしいし、発声が舞台劇並みに大声で叫んでいるし、台詞の間合いと言い、元が舞台劇というのがあるけれど、舞台劇を映画でやられても嘘臭くて見ていても白けて来るし、失笑ばかり。もっと演出どうにかならんかったのか。
平田満が一生懸命になり、危険なスタントを繰り返し、最後の階段落ちに行くのだけれど、その危険な場面はどれも平田満ではないスタントマンでこれまた白ける。そこを彼がするというのがこの映画の主題の一つでもあるのじゃないのか?それなのに別人とは。
最後のメタフィクションと言うか、これこそ楽屋落ちな締め方も、「作り物と分からせる演出が良いでしょ!」なんだろうけれど、今見るとその照れ隠し感が小っ恥ずかし過ぎて見てられない。
この映画の影響が大きいのか、今でも階段を転げ落ちて死亡したという様なドラマがあるけれど、いまいちピンと来ないんだよなぁ…。この映画でも、階段落ちの見せ場の為だけに馬鹿みたいな長さの階段を作って、そこから落ちても死んだ訳では無いし。
皆若く、特に松坂慶子は綺麗だけれど、スーパーカップ並みの増量アップの現在と比べるとどうしても別人。演技は今とあんまり変わりはないけれど。若いけれど萩原流行は変わり無い気がして、今見てもあんまり違和感が無い。今の萩原流行が若いのか。
始まりの「蒲田行進曲」のカバー版とその演出が余りにダサくて行き成り笑ってしまう。音楽が如何にも1980年代のダサさばかりで、劇中で音楽が流れると失笑ばかり。中村雅俊の「恋人も濡れる街角」が流れる度に80年代のTVのメロドラマなのでゲタゲタ笑ってしまう。

演出が下手くそ過ぎるので、皆演技は大声で叫ぶだけ、わざとらしい、不自然とまあ酷い出来。今見てしまうとコントでしかない。80年代の時代劇や現代劇自体が今見るとコントにしか見えないモノが多いから、当時は結構普通だったかもしれないけれど。大映ドラマ位突き抜けたモノでもないので、引いて行くばかり。音楽にしろ、衣装にしろ、演出・演技が80年代臭プンプンで、その80年代臭に鼻を摘まんでしまうわたしには最悪の映画。

☆★★★★

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