左きゝの拳銃

2012年04月14日 土曜日

ポール・ニューマン主演でビリー・ザ・キッドを演じた映画「左きゝの拳銃(The Left Handed Gun)」。

ポール・ニューマンが、思い込みが激しく、激情的で危険だけれど人懐っこく、無軌道だけれども哀しさ溢れる不思議な魅力をビリー・ザ・キッドに持たせている。悩める顔の渋さと、笑った顔の屈託の無さが、ポール・ニューマンはこの時から良い役者だなと思わせる。それに白黒でも、青い目が吸い込まれる様で非常に印象的。
1950年代の西部劇だから、如何にも作ったという時代劇感は安く、どうもしょっぱさがある。銃で撃たれても銃痕も無く、血すら出ないし、ペチペチと音がする殴り合いは流石に…。演出も音楽の使い方も古めのメロドラマ的でいまいち良くない。ポール・ニューマンが非常に良いだけに、この時代の映画の作りの安さが勿体無すぎる。
この映画が物凄くニューシネマっぽいと思ったら、「俺たちに明日はない」の監督アーサー・ペンの初監督映画だった。馬鹿な若者の無軌道さは変わる事の無い題材なのか。最近では、馬鹿で悪い奴は実は本当は良い奴でめでたしめでたしの何の感慨も無く、馬鹿馬鹿しいモノになってしまうけれど、無常観漂うこういった話は良い。

時代性もあるのだろうけれど、地味だし、安っぽいのだけれど、ポール・ニューマンのビリー・ザ・キッドが物凄く光り、もう少し時代が違えばもっと良い映画になっていただろうと思わせてしまう。

☆☆☆★★

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