トッツィー

2012年03月03日 土曜日

1983年の第55回アカデミー賞で助演女優賞をジェシカ・ラングが取ったのだけれど、やっぱり、当然注目はダスティン・ホフマンな映画「トッツィー(Tootsie)」。

完璧主義が過ぎて仕事があっても周りと揉め、使い辛い役者なダスティン・ホフマンが、仕事の為に友人が落ちたオーディションに受けるのだけれど、女装をし、女性として受け、受かっちゃい、その役がドンドン人気も出て、人としても魅力的で皆に好かれ始め…という、コメディだけれども狙い過ぎず、温かいドラマ。売れない役者と言う時点で、メタフィクション的な演劇論から始まりくすぐられ、女装で通すのもダスティン・ホフマンの良く出来た芝居ですんなりと入るし、基本的に楽しませようとするので見終わると爽快な気持ちに。
ダスティン・ホフマンは流石。元々そんなに背が高くないし、遠目から見ると完璧なおばさんの仕草や動き。ただ、近くで見るとおっさんよりなのだけれど。鏡の前で女らしさを確かめる場面があるけれど、実際にこの撮影前後はこんな事を朝から晩までしていたんだろうなと思わし、役者を見せ、観客を刺激する演出も。ダスティン・ホフマンは笑わす様な大袈裟な事はしないのだけれど、きっちり過ぎる程女性を演じ、男性なので、そこでの落差とややこしい人間関係で笑わす。ダスティン・ホフマン演じるこの人物が、男だと強調性が無く、女性に対してもガツガツしていて自分勝手なのに、女装すると非常に人の良い人になったりするのもおもしろい。
ビル・マーレイがダスティン・ホフマンの親友役で出ているのだけれど、まだ若くても何時もの飄々としてシラッとコメディーをする感じは今と同じ。この二人の関係もほわっとしていて良い感じ。
1980年代の男女平等や強い女性の流れがあった中で、女装した男性が快活な女性として存在するとか、社会での男女のあり方や同性愛ネタをしたりと、意外と社会性に溢れるコメディで、単におバカな女装男のてんやわんやではない、喜びと泣きを見せるなかなか寡作なコメディ。

作品賞・監督賞・主演男優賞等にノミネートされたけれど、受賞したのは確かに良いけれどそんなでもなかったジェシカ・ラングの助演女優賞だけだったのは省レースのあやかぁ。

☆☆☆☆★

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