セント・オブ・ウーマン/夢の香り

2012年03月01日 木曜日

アル・パチーノが1992年の第65回アカデミー主演男優賞を受賞した「セント・オブ・ウーマン/夢の香り(Scent of a Woman)」。

この映画は題名から「女性の聖性」だと思い、大人の恋愛劇だと勝手に思っていたけれど、「セント・オブ・ウーマン」は「女性の香り」だし、真面目な高校生と、偏屈で強引で言いたい事を言う盲目の退役軍人のおっさんとの交流を描いた映画だったので、意外性で関心しながら見れた。
一番目が行くのは、もちろんアル・パチーノ。アル・パチーノは目が見えなくても、やっぱり恐ろしい程の目力。目が見えていないのに見え過ぎているのはどうかと思うし、あえて目線を合わせな過ぎるのもどうかと思うけれど、グイグイ押しまくる演技と存在感は圧倒的。一言発せば、それだけで見ている方まで縮み上がる。相手役のクリス・オドネルは演技なのか、本当にアル・パチーノに圧倒されているのか分からない位。
そのクリス・オドネルも、濃過ぎるアル・パチーノにどうしても引けを取るけれど、田舎から出て来た真面目で純朴そうな少年の雰囲気が滲み出ていて、こちらも役にぴったりはまっている。
途中に出て来てタンゴを踊る女性はガブリエル・アンウォーなのだけれど、後でそう言えばと気付き、やっぱり「バーン・ノーティス」のフィオナと違い過ぎて気付かない。
話的には前半の、無茶苦茶なおっさんに振り回され、それに上手い事従わされる坊やが、徐々に心を開いて行くのは非常に良い感じだし、見ていてもどうなるのかが分かっても心地良い話なのだけれど、この映画の一番の盛り上がりが、学生のいたずらを言うか、言わまいかで、アル・パチーノの長い擁護演説というのは結構微妙。中盤で一気に盛り上がり、そこを超える事の無い締めに向かって行くのがいまいち。

一般的じゃあない役を演じるとアカデミーを取り易い傾向があるのかと勘ぐってしまいたくなるけれど、この映画の見所は、やっぱりアル・パチーノ。話的にはフワッとした感じで終わってしまうのが残念な所だけれど、刺す様なえぐり方をするけれど暖かい、希望を見せる映画でなかなか良い。

☆☆☆★★

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