トレーニング デイ

2011年11月26日 土曜日

黒人ベテラン麻薬捜査官と彼に就いた白人新人刑事という良くある設定のバディムービー「トレーニング デイ(Training Day)」。
この手の映画は、「初めは仲違いするが信頼関係を築いて行く」か、「片方の悪事を見て対立して行く」という二種類が多いけれど、これは後者の方。基本的にはデンゼル・ワシントンとイーサン・ホーク二人の会話劇が主で、出会いからの違和感から来る微妙なズレがドンドンずれ、遠ざかり、ついには…という流れを二人ががっつり、濃く演じていて、刑事映画だけれどもサスペンス映画の様な緊迫感があり、ぐっと見入る。デンゼル・ワシントンは基本的にはイーサン・ホークと向かっている方向は同じなのだけれど、その方法が飛び出しているだけなのか、それともただの悪人なのか、多く喋るがはっきりと本心が見えて来ない人物で、それをデンゼル・ワシントンが、他の映画で見る様なデンゼル・ワシントンらしくなく陽気だったり行き過ぎていたりと、パッと見るとデンゼル・ワシントンには見えない演技をしている。確かにデンゼル・ワシントンは良いけど、これでアカデミー主演男優賞を取るまでなのかとは思う。一方のイーサン・ホークも後半の覚悟を持った鬼気迫る顔は良いのだけれど、始めの新人としてはいまいちしっくり来ない。イーサン・ホークは周りの市民からも「新人」と言われているけれど、顔つきが鋭くあんまり新人には見えない。この時点で31歳だし、パッと見ると小慣れた何度も危険を乗り越えた捜査官の感じがする。
話が、「果たして方法の違いだけで目指している方向が同じなのか?」という、必要悪と正義心がぶつかる手探りの状況の時は物凄くおもしろいのだけれど、結局悪徳刑事に落ち着くのは何とかもう少し出来たとも思うのだけれど。

デンゼル・ワシントンとイーサン・ホークが正面から、話的にも役者的にもバッチバチの鍔迫り合いで、まさに新人目線で、知らない裏面を見せるはみ出たベテランと何処に行こうとしているのかと一時も集中力を削がず、派手さは無いけれど濃い刑事映画。

☆☆☆★★

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