イベント・ホライゾン

2011年11月23日 水曜日

始めの字幕で「Director by Paul Anderson」と出てきたので、あのポール・W・S・アンダーソンか…と思い心配したらそのポール・アンダーソンが監督した映画だった「イベント・ホライゾン(Event Horizon)」。

しかし意外と結構行けた映画だった。
七年ぶりに突如現れた宇宙船イベント・ホライゾン号を調査に行くという話となると何処へ話は転ぶのかが注目する所だけれど、始めは映画「エイリアン」の登場でこの手のSFではありがちになってしまった「船内に何かが…」と振りつつも、段々と外的なモノなのか内的なモノなのかが曖昧になり、クトゥルフ神話風の流れが色濃い精神的ホラーSFへと変わって行き、一風変わった宇宙船モノになっている。
ただその話も、何かで見た事がある様なモノが沢山散りばめてあり、映画好きなら逆に楽しめるかもしれない。謎の宇宙船探査等の「エイリアン」の部分が多いのはもちろん、精神的におかしくなって行く後半のサム・ニールや、大量の血がドバッーっと等は「シャイニング」、妻の幻影に悩まされる科学者は「惑星ソラリス」、あの幾何学模様のパズルボックスを球にした様な装置、拷問の様な悪夢等は「ヘルレイザー」等々。イベント・ホライゾン号は胴体中央部分が通路で細長く「2001年宇宙の旅」のディスカバリー号みたいだし、上から見ると「スタートレック」のクリンゴン・バード・オブ・プレイやクリンゴン・ウォーバードっぽいし。それにイベント・ホライゾン号の内装からしてゴシック建築風と言うか、黒基調のH・R・ギーガー風。
また役者も、サム・ニールはこの映画前にクトゥルー神話風の「マウス・オブ・マッドネス」に出ているし、ローレンス・フィッシュバーンが調査船の船長の椅子に座っている所は「マトリックス」でネブカドネザル号のモーフィアスを思い出させるし、ジェイソン・アイザックスはこの後「アルマゲドン」出ているし。

話は気持ち良い、爽快な話ではなく、じめじめした怖さを押す映画で、SF映画を見ていたはずなのに見た後はクトゥルフ神話の様なホラー映画の後味で一杯になっている、少しずらしたSFでなかなか。映画的なパロディと言うより、オマージュ的な部分でも楽しめる、ポール・アンダーソンにしてはそれなりにいける映画。

☆☆☆★★

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