ラブ・オブ・ザ・ゲーム
2011年11月03日 木曜日ケビン・コスナーだからではなく、監督がサム・ライミだから期待して見た「ラブ・オブ・ザ・ゲーム(For Love of the Game)」だったけれど、むしろそのサム・ライミがしょっぱかった。
引退をそろそろ考える様な年齢になった野球のピッチャーのその苦悩や葛藤を描いた映画と思っていたら、そのピッチャーの恋愛話が中心で拍子抜け。またこれが安っぽい。恥ずかしくなる様な偶然の出会いから、それから揉めるやはりな展開。で、別れるまで行くけど…のベタな、ベタ過ぎる展開で萎えて来る。また主人公のケビン・コスナーが自己中心的で勝手なのに、結局何故彼女が彼にそこまで惹かれるかは特に描かれもしないので見ていても分からず、都合が良過ぎると言うか、主人公の恋愛話の為の添え物扱い。
野球映画としてもつまらないのは、若い時から順調で、黙々と野球を練習する場面なんて無いし、歳を取っての肉体的衰えや精神的落ち込みに悩む場面も無く、一番の危機は裁断機で手を切ってしまったという自分の間抜けだけ。引退間近のピッチャーの完全試合とか、ケビン・コスナーがやりたい放題やって彼以外誰が喜ぶのか分からない人物になってしまっている。
また、騒音を気にしない為に一々「ノイズ消去」と口にしたら実際騒音が消えるとか、一球投げる毎に選手への評価や球の説明をしたりとか、漫画みたいなコメディっぽさがあって、笑かしにかかってはいないのだろうけど失笑。帽子を深く被ったら回想開始とか、アップで寄りフェードインで回想とか、かつて失敗した選手が同じ様な場面で危機を救うとかも同じく失笑。後、娘の着ている「平和調」のTシャツとか、最後のひざまづいてのキスシーンとか、サム・ライミは他の映画でも笑かしにかかっているのか、そうでないのか分からない変な演出があるけれど、この映画では大きな失点。
そのサム・ライミはアクション映画等では妙な安っぽさが良い感じになっているのだけれど、こういう恋愛映画だとただ安っぽいだけで終わり、非常にしょっぱく、つまらない映画になってしまっている。
☆☆★★★