ミッシング

2011年11月01日 火曜日

ジャック・レモン主演の「ミッシング(Missing)」。
本当にジャック・レモン主演という事しか知らずに見てみたのだけれど、ある程度前知識が無いと置いてけ堀を食らってしまうかもしれない。前半、この人達は誰で何をしているのか、そもそもここは何処なのだという事すら分からない。やっとニクソンの写真が壁に飾ってあって1970年代初めと分かり、軍事クーデターが起こっているのがチリだと分かるのも中盤になってから。導入が非常に不親切なので取っ掛かり難い話だけれど、ジャック・レモンが登場してからはどんどん引き込まれて行く。息子の消息を追う事によって、クーデターで行われている事、その裏で暗躍するアメリカが徐々に見え始める。初めは頑固で息子とその妻の事を良く思っていないジャック・レモンが、その現実ときな臭い裏を知り、義理の娘と話して行く事によって息子を理解し、現実に立ち向かおうと変わって行く。それをジャック・レモンが抑えた演技で非常に上手く演じている。この歳行って保守的な父親が自由で新しい事に興味がある若者を理解せず毛嫌うのは、何時でも繰り返されているけれど、こうして理解して行く話でもある。

音楽がヴァンゲリスなのだが、いつもの感じで必要以上に緊迫感を煽る感じなのでいまいち映画と合っていない。壮大な、もしくはもっと感動を前面にに出す様な映画だと相性は良いのだろうが。でも、エンドクレジットの音楽はなかなか良い。

父親と息子の妻の必死の捜索があるので、より政府の人間の余所余所しさが際立ち、大きな陰謀につい足を踏み込んでしまった人間の無力さと憤りを淡々と描いた映画。実際の事件を基にしているので、この恐ろしさに恐怖し、最後の何ら認められず隠されたままと言う文章にも、人々の幸福の名の下に行われている策略に恐怖する。

BSで「アラバマ物語」「ヒトラーの贋札」「ミッシング」「Q&A」「理由」と一週間の間に放送していて、人種差別や民族差別を扱った映画の特集かと思っていたけれど、この「ミッシング」はそうでもないので一体何の並びだったのだろう?権力の暴走だったら「アラバマ物語」はそうでもないし。

☆☆☆★★

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